76・なまけもの達も薬を求めてみた②
ユウさんが奪ったドラッグをなまけものとココアに渡す。
「はいコレ」
「これであたしにも新しい世界が!」
「これを使えば、俺も変われる・・・」
渡された白い錠剤を見た2人は、ふふふ・・・と悪い笑みを浮かべてぶつぶつ言っている。側から見たら危ない薬を服用する人にしか見えない。
「分かってると思うけどランダムだぞ? 変なのになっても知らないからな」
「それなら大丈夫よ。多分種族だけ変わる筈だから」
「そうなの?」
ユウさんに聞き返す。ユウさんによると、この薬では種族変化だけの進化で属性などは変わらないという。確信はないそうだけど、僕と自分の進化からそう判断したようだ。
「最初ポンタの進化の時に、レッドの部分が変わらなくてもしかしたらと思ったのよね。で、私も試してみたらナイトの部分が変わらなかった。だから大丈夫だと思うわ」
「俺もそれには気付いてた。まぁどの種族になるかは分からねぇし、運任せなのは間違い無いけどさ」
なまけものは渡された薬を見ながら言う。僕はたまたまかと思って全然気にして無かったわ。
ココアは分かってたんだろうか?
「わわわわっ!」
見るとココアは既に光り、進化を始めてた。どうもユウさんが説明してくれている間に啄んでいたらしい。なまけものもそれに気付き、薬を持った手を止める。どうやらココアの進化を見た後に進化する気らしい。
「わわわわ・・・。あ。終わった」
「「「・・・・・」」」」
光が収まりその全貌が見れる。見た瞬間その姿に驚いて何も言葉が無くなった。進化したココアは今までの小さな鳥の姿ではなく、白鳥みたいな姿に変わった。白鳥だと言い切れないのは、シルエットが白鳥っぽいだけで、シルエットを作っているのが水だからだ。
他のゲームとかだと水の精霊とかが、水で人型のシルエットを取る場合があるが、それの鳥版だと思うと分かりやすいかもしれない。
体はほぼ水だが、目の部分に小さな結晶が入っていて、キョロキョロと水晶が動く。恐らくあれが目何だろう。
「私どうなったの?」
「水になった」
「とりあえず湖で姿確認して来たら?」
ユウさんに言われて、ココアは湖の上まで飛んでいく。羽根を動かしていないので、恐らく飛ぶというより浮いているという方が正しいのかもしれない。
ココアは湖に映った自分を見て変な奇声をあげている。何か嬉しそうな感じがするので、本人的には満足な進化だったのだろう。
「いいね!! すごくかわいい!」
戻ってきてそうも言ったしな。
喜んでいる間にステを確認する。
名前:ココア(柊)
種族:アクア・フェアリーバード(4)
レベル:21
特殊スキル:ヒーリス+ アクアエッジ アクアウォール ヒールサークル
アクア・フェアリーバード:水の力を得た鳥の魔物が妖精種へと昇華した存在。水で出来た体は物理攻撃を軽減し魔法にも強いが、体力や攻撃力は低い。水魔法の他に回復も使えるので、先に倒さないと周りの魔物を回復させる。
「回復魔法増えてるわね」
「『アクアウォール』は普通に水の壁だな。これで盾役しなくて済むぜ」
「『ヒールサークル』は範囲系かな?」
なまけものがはココアの盾役から解放されるとかなり喜んでる。
そんななまけものの肩をココアは水の翼でポンポンと叩く。
「よかったね」
「いやお前のせい!!」
まぁココアの強さ確認は後にして・・・
次はなまけものの進化だな。
次回更新は明後日になります