71・日曜の夜にもログインしてみた①
「あんまりやらないようにしないとな」
明日に響くのでダメだと思いつつもログイン。
明日は仕事なので、やっても1時間で抑えないといけない。多分無理だろうけどさ。
こういう時って後に予定でもない限り、決めた時間で終われることがほぼ無い。多分今回もそうなるだろう。
「ポンタ」
「あれ? ユウさん」
オアシスでどこをぶらつくか考えていると、ユウさんが遠くから走ってくる。まさか日曜夕食後にログインしているとは思わなかったので驚いてしまった。
「ログインしてたんだ」
「今日はしてなかったし、夕食後からちょっとだけ」
「ハマってるね」
「かもね」
偏見だが、この時間に1人でぶらついている時点でユウさんもこのゲームにハマっているようだ。よく見ると装備が少し変わってるし、あの間に合わせではなくちゃんとした装備に変えようとでもしてたのだろうか。
「そうじゃないんだけど、あの姿だと変に目立つっていうか・・・視線を感じるのよね」
「ああ、うん。そうだよね」
今もまぁ目立ってるけどね。とはいえオーガはたまに見かける程度に居るので、女型のオーガもじきにみんな見慣れてくるだろう。
「ところで、何やってたの?」
「ちょっと丘エリアで散歩。もしかしたら誰かとPvPできるかと思って1人でぶらついてみたの」
やっぱりPvPしたかったのか・・・
「で、どうだった?」
「ううん、全然。みんな見ては来るんだけど、襲って来ないし、パーティ組まないって言ってくるし」
「また誘われたんだ。それで組んでやってたの?」
「ううん、断った。私はポンタ達とだけでいいから。顔の知らない人たちとは・・・ちょっとね」
「そうだね」
「ポンタ達とだけでいい」と言われた時に一瞬ドキッとしてしまったが、まぁリアルの知り合い同士でやってたら、顔の知らない他の人は不安だよな。どういう人か、どう話していいかも知らないし、僕も出来るだけ関わり合いたくない。
「ところでポンタはこれからどうするの?」
「考え中。レベルを上げるか、適正(適性)値を上げるか・・・」
なまけものとのレベル上げで少し上がったけど、イベントまでにもっと上げておきたい。目標は30位かな。適正(適性)値は・・・まぁうん、今すぐじゃなくてもいいな。
「適正(適性)値?」
「うん。ドラゴンになる為にはどうするかって考えて・・・飛んでる」
「ごめん、よく分からなかった」
だよね。
もうちょっと細かくユウさんに説明する。し終わると、なまけものと同様に呆れ顔された。でも他にどうすれば良いか分からないし。
「ココアに持ち上げてもらった方が早くない?」
「! 確かに!」
ココアの大きさで、僕を持ち上げれるかどうかは不明だが、その方が圧倒的に早い気がする。高いところから飛ぶ一瞬と、ずっと飛んでられる常時では違うだろう。同様の適正(適性)値が増えるか分からないが、試す価値は十分ある。
そうと決まればココアを探さねば。
確認するとまだログインしてる。とりあえずチャットで連絡しよう。
ポンタ :ココア。今からそっち行っていい?
・・・
・・・・
・・・・・
あれ? 返事来ない。
「私が入った時から返事来ないのよね」
もう一度ログイン状況を確認、確かにログインしている。
忙しいのか、気付いていないだけか。それとも・・・
「ちょっと行ってみる」
「場所分かるの?」
「なまけものが今日会ってるんだ。その時水浴びするとか言ってたって」
「じゃあ湖畔エリアね。まだ居るかしら?」
「さぁ? まぁ居なかったらレベル上げでもしようか。急いですることでもないし」
「そうね」
僕達は世間話をしながら、湖畔エリアへと向かった。