6・再合流してみた①
午後8時集合か。遅いなぁ・・・。
風呂に入り夕食も済ませてしまったが、まだ7時になっていない。後片付けも終わったし、明日の準備も特にない。
洗濯も毎日する必要ないしな。
暇なので榊から貰った資料を確認する。基本的な操作は昼休みにみんなで見たので覚えた。それ以外で有益な情報がないかを見てみる。
今日はおそらくみんなでフィールドに出るだろうし、戦闘もあるだろう。出来ればオススメ戦闘方法があればいいんだが・・・。
そんな都合のいいことは載ってなかった。代わりに載っていたのは、〈人間はこっちの戦闘方法を理解して対処する〉との一言だけ。
人間一体一体のCPUには学習型のAIが組込まれているらしく、こちらの戦法を分析し対処するらしい。1人にやったら次の人に対処されるわけでは無く、一度それでやられた人間が対応するらしい。なので同じ戦法ばっかりで倒し続けていると、いずれそれで倒された人間と当たった時に対策を打たれるというわけだ。
「問題は学習が共有されていることなんだよなぁ・・・」
人間は同一サーバーで全てのプレイヤーが共有する。なので誰かがある戦法で倒しまくった後、他のプレイヤーがその戦法を取った時に対策を打たれる。なので選んでいる人が多い種族は、大抵の戦法が対策されている状態になっており新規プレイヤーが現在苦戦を強いられているらしい。
一定時間で対策を忘れるようにプログラミングされているとはいえ、ソロプレイヤーにはキツイ仕様になっている。パーティを組めば戦術の幅が広がるので、ほぼ対策されていることはないからな。
「そろそろ入っておこうかな」
まだ7時半ぐらいだけど、ぴったり8時に入る必要なんてない。せっかくだから先にフィールドに出てみようか。サクッと倒して1人レベルアップしてもいいかも。
合流時にびっくりさせれるかもしれない。みんなの驚き顔を想像しただけでニヤついてしまう。
という事ですぐさまログイン。
しかし昨日のオアシスに到着した瞬間全て終わった。
「お前ももう来たのか?」
「やほー」
「みんな早いわね・・・。明日は集合時間早めても良さそう」
「・・・・・」
全員居るじゃん!
誰だよ、8時集合にしたのは!!
「何で居るの?」
「私は昨日急いでチュートリアルしたから、もう一回しておこうと思って。まともに戦えないと迷惑かかるし」
なるほど、たしかに急いで進めて貰ったからな。
「私は・・・ほら、鳥じゃん? 飛ぶのに慣れておこうと思って。普通の移動プラス上下方向もあるからね」
・・・まあ、そうだな。他より移動範囲が広いから仕方ないか。
「俺は・・・・、まぁアレだ。30分前集合だ」
流石に無理あるだろ。
「どうせ時間までにちょっとレベル上げとかしようと思ったんだろ?」
「「な、何のことかな?」」
2人とも分かりやすいな。でも僕も同類なのでこれ以上の追求はやめておこう。
どう言ってもブーメランして刺さる。
「やな・・・ユウはチュートリアルしてくる? 予期せず揃ったけど時間までまだあるし」
「いいわ。揃ったんなら実践の方が分かりやすいだろうし。この魔物だと操作は普段とあまり変わらないから」
「ああ、そうだね・・・」
ゴブリンだもんな。
初期種族の中では1番動かしやすいだろうな。