67・ユウさんも進化してみた
ユウさんの進化が終わる。
光っている間に身長がどんどん伸びていく。それなりに大きいなまけものと同じくらいの高さまで伸びて止まった。
数十秒後に光が収まり、ユウさんの全貌が明らかになった。
身長は中学生サイズから一気に大きくなり、2mに届きそうなほど大きい。緑色に近かった肌の色も赤くなっており、ボディビルダー程ではないが筋肉もすごい。額からは2本の角が生えていて髪も伸びており、顔は完全に女性だ。もう魔物というより亜人という感じだな。
まとめると角生えた赤肌のアマゾネスだ。
名前:ユウ(柳)
種族:オーガナイト(4)
レベル:21
特殊スキル:追い剥ぎ 装着 剣技(1)(雷斬、紋切) 鼓舞
オーガナイト:ホブゴブリンが進化した種族。力が強く頑丈で、戦闘では主に大きい武器を振り回して戦う。オーガナイトはその中でも技術に長けており、戦闘力が高く人間が扱う剣技を真似てくる。戦闘力は高いがゴブリン同様状態異常への耐性は低い
「進化したけどどうかしら? 何か一気に視界が高くなって変な感じ」
ユウさんは自身の体を見回しながら聞いてくる。
見た感じと種族説明からかなり強いのは分かるし、いいと思う。
ただなぁ・・・
「かなりいいと思うよ。ただ・・・」
「ユウが望んだ力も強くなってるみたいだし俺もそう思う。ただ・・・」
「凄くカッコいいね。ただ・・・」
どうやら他の2人も同じことを思っているようだ。良いとは言うものの、目をそらして直視しない。
ユウさんはその言動に首を傾げて聞き返す。
「ただ・・・何?」
「「「なんかエロい」」」
「!?」
ユウさんはゴブリンナイトの時に手に入れた軽装備をそのまま着用している。一応魔物の体に合わせてサイズが変わるようだが、軽装のため、胸の部分が強調され、下半分は動き辛いからと元々つけてなかった。一応腰蓑を巻いてはいるのだが上部の服で隠れているので、履いてないようにも見える。
ゴブリンの時は、容姿からそこまで気にならなかったが、流石に今の見た目ではアウトだ。早めに服を着て欲しい。
「やっぱりそう思う?」
「そうしか思わん」
「エッチだよね」
うんうんと頷く僕らに対し、ユウさんは慌てて後ろを向く。しかし後ろ姿もエロい。もうちょっと見てゲフンゲフン、ユウさんがかなり恥ずかしそうにしているので、その辺の冒険者から提供してもらおう。お、丁度いいところに4人組パーティが歩いてる。ついでにレッド・ヴェノムリザードの強さも確認しておこうかな。
なまけもの達に理由を説明して1人で突撃する。動くに慣れてないので上手く避けられずに攻撃を受けるが、物理ダメージが殆どなく、攻撃を受けながら体当たりや尻尾叩きつけだけで倒した。ちなみに魔術ダメージは今までと同じくらい受けた為、今まで通り注意が必要だ。ちなみに全員一撃だった為、スキルの確認はまだ出来てない。
ユウさんはその冒険者の中から適当に剥ぎ取って『装着』する。上半身は胸当を着用し、下半身は魔術師の長いスカートを着用、これで何処から見ても大丈夫になった。
「こ、これで大丈夫かしら?」
「大丈夫」
「大丈夫だな。ちょっと残念だが」
「うんうん。いい感じ」
「ふぅ、良かったわ。もう・・・エロいとか言わないでよ恥ずかしい」
安堵の表情のユウさん。流石にこれはゲームだと割り切れなかったらしい。今までより人よりになったかな。
落ち着いたところで、ユウさんのステータスを確認する。
今回新しく追加されたスキルは『鼓舞』か。
「多分自己強化系のスキルだよな」
「そうね。攻撃力が上がるみたい。時間は・・・分からないわね」
「その戦闘中は永続か? だとしたら結構使えるな」
「周囲も強く出来ればもっと使える」
戦闘開始早々パーティ全員に攻撃バフがつくのはかなり強いが、ユウさんによると自分だけらしい。残念だがそれが出来ると強すぎるし妥当かな。
後は剣技の所に(1)が追加されている。これは前にも見たけど、もう一つ剣技を覚えられるということか。
「ユウさんだけどんどん強くなるな」
戦闘力もゴブリンの時に比べて確実に上がってるだろうし。ただ本人にはその自覚があまり無いようだけど。
「ほんとそれな。俺も良いスキル欲しいぜ」
「この際だしなまけもやっとく?」
「いや辞めとくわ。その前に一回進化しておきたいからな」
「あたしも!!」
なまけもの達は保留にしたので、今日はそこで終了した。