602.獅子王さんと戦ってみた⑤
今年も出来る範囲で進めていきます。
今まで通りですがよろしくお願いします
今回はユウ視点です
ピリッとした雰囲気が伝わり、茶化す両サイドの2人を押し除けて勝負を見る。
「! ポンタの雰囲気が変わった!?」
「そうなの?」
「ええ、なんかいつもポンタから出てる優しい雰囲気が消えたわ」
「ふーん・・・」
「へーえ・・・」
ニヤニヤ顔の2人。どうでもいいけどこの勝負重要なんだからもうちょっとちゃんと見せてほしい。
「流石ユウちゃん、普段からよく見てるね。あたしは分かんないなぁ」
「お母さんも分からないわ~」
「ええい! しつこい! 勝負を見せなさい!!」
「「ああ〜・・・」」
2人をポイし、勝負に視線を戻す。そこでは押され気味だったポンタが、お父さんに攻め返していた。無理な攻撃ではなく、お父さんの攻撃をしっかり見た上での攻勢で、カウンターもきっちり躱している。
普段のポンタからは考えられないほど不自然なほどに。
さっきまでの戦闘でもかなり上手くやり合っていると感心するくらいだったのに、ここまでくると異常だ。
「確かに普段のアイツらしくねぇな。でもお前の特訓の成果次第ではあれくらいできるんじゃないのか?」
「そうかしら・・・」
勝負を邪魔しないように大回りで戻ってきたなまけものも違和感があるようだ。
なまけものが言うように確かに特訓でポンタは強くなった。しかし特訓中あそこまで動けたことは一度もなかった。少なくとも特訓では今のお父さんのスピードよりも遅いスピードのすらついてこれなかった。
その上今ポンタの体調は良くない。だから普通は特訓時より弱体化していなければおかしい。
「何言ってんだ? 体調悪い時こそ集中力上がるだろ?」
「それあんただけでしょ。というか体調悪い時ゲームしないでしょ普通」
「するでしょ普通。俺熱出て学校休みのときはガッツポーズしてゲーム三昧だったぜ?」
「そんなことして悪化しないの?」
「する。だから悪化して動けなくなるまでだな」
「アホらし・・・」
考えが馬鹿だ。まぁ風邪引いて学校休んだ時の特別感は分かるけど・・・。
「じゃあ何? 今のポンタはその体調不良初期の集中力アップ状態と言いたいの?」
「アイツが俺と同類ならそうだな。まぁそんな状態そう長くは持たないから、早めにケリつけたほうがいい」
「それはそうだけど・・・。あの状態ですらお父さんのダメージが入ってないわ」
というかむしろHP回復してる気がする。気のせいか?
「『生命湧き』だな。徐々にHP増えるスキル」
何そのずるいスキル。
「というかなんでなまけが知ってるのよ?」
「この前取る場所教えてもらった。クソ遠いけど」
「他にも聞いたの? 何持ってるの?」
「ああ、聞いたが・・・。だが多すぎるから覚えてねえわ。・・・おい、その無能を見るような目はやめろ」
まぁ今知ったところでどうしようもないか・・・。
「話戻すけど、ポンタはあと持ってどれくらいだと思う?」
「調子悪くなる時期にもよるけど、勝負を急いでいるところと、機嫌悪そうなところを見る限りいつ限界きてもおかしくない」
「じゃあ今にも終わる可能性ある?」
「ある。だって普通体調不良時って。寝て養生するべきなんだぜ?」
「・・・あんたさっきと言ってること逆じゃない。頭大丈・・・、あ、すでに終わってたわね」
「うるせぇ! とにかく時間はねぇ。あの集中力きれたら即負けるぞ」
そうはいうが、お父さんはあれほどのポンタの攻撃をキッチリ防ぎ切っている。ポンタの動きがフェイントもない単調な攻撃とはいえ、初見スキル含めしっかり避けているのは流石だ。
しかしかなり集中しているのか、さっきまでのように話をする余裕はないようだ。つまりその集中力を切れば勝機は少しあるだろう。
「だがあの人の集中力を途切れさせるのってできるのか?」
「簡単よ。そのためにわざわざアカウント作ったんだから」
私はいつのまにかココアと実況してるお母さんを見てニヤリと笑った。
次回更新は3化後の予定です。