597.開始を見守ってみた①
なまけ視点
獅子王さんに「観戦者はあっち行け」と言わんばかりにユウ達がいるところへ投げ飛ばされる。するとまるで俺が悪いかのようにユウ達が見た。
「またバカやったの? お父さん加減知らないから程々にしておきなさいよ」
「なまけだししょうがないよね」
「してねぇ!」
「あら? この人ってそういう人?」
「「そう」」
「違う! ・・・ところでどちらさん? お二人さん俺にも紹介してください」
雰囲気的におっとりお姉さん! 2人の知り合いなら俺にもワンチャーー
「私のお母さんよ」
おっと危ねぇ・・・。危うく死亡確定の危険物に手を出すとこだったぜ。
「何下手に出て・・・あ、手を出したらマジで死ぬわよ? 社会的にと身体的に」
「しません。声的に年ぱーー」
「あら?」
「・・・なんかユウと似た感じがしたので親族かなって思ったので」
「あらら、そんなに似てるかしら~?」
ふぅ、回避ーー
「待って? 私の親族だと即断するほどのダメな理由でもあるの?」
したつもりだったのに! 瞬時に次の手を考える。そしていいものを見つけた。
獅子王さんを指差し。
「あれ。あれのせい」
「・・・、く、言い返せないわ」
「何で? お父さんダメ?」
「えっと・・・、少なくとも今のポンタの状況を自身に当てはめると、めんどくさいことこの上ないのでダメですお母様」
「・・・あら〜、そうなの?」
何とか回避できたようだ。面倒なのはユウも同意見で、ウンウンと頷いている。
「私もそう思うわ。昨日のでいうとお母さんもめんどくさい」
「あら~・・・」
「あら~じゃないのよ! おかげで大変なんだからね!?」
「え~・・・、いいと思ったのに・・・」
ユウのやつも苦労してるんだな・・・。しかし大変なことには興味あるぞ。
「こんな日の前に何したんだお前・・・」
「私じゃない! ・・・でも言わない」
ぷいっと顔を背けるユウ。これはなんかあったな! そう直感した俺の目がキランと光る。
同時にココアの目もキラキラ光だした。
「「詳しく聞こうか」」
「おっ?」
「あっ」
ハモった直後、ココアもぷいっと顔を背けてしまった。何だこいつ。
しかし今は後だ。
「どうした? 大変なんだろ? 面白おかしく聞くぞ?」
「面白おかしく聞かなくていい!!」
「実はねぇ・・・。昨日ポンタさんとーー」
「お母さんは黙ってて!」
慌てるユウ。
なるほど、つまりポンタと何かあったわけだ。で、気まずそうなポンタ、ユウとの距離感。そこから導き出される真実はいつも一つ!
「なるほど理解した!」
「今ので!?」
「あたしも理解した!」
「何で!?」
流石俺と同じく2人を近くで見ていたココア。同時期に理解したようだ。俺はユウに答えを突きつけるかのように指差し、
「お前・・・」
「ポンタに振られたな!?」
「ポンタとやったんでしょ~!?」
「ちがーう!!!」
ココアもろとも吹き飛ばされた。余波で母親のMAMAさんも転がる。
「違うのか!? 言いたくなくて、ポンタと距離感あって、なんか気まずそうにしていると言えばそうだろう!?」
「違う!」
「昨日一緒にいて、なんかいい雰囲気になって、そのままピー的なことじゃないの?」
「何でそうなるのよ!?」
「そうよね、ポンタさんにね、好きだってバレちゃっただけなのにね」
「お母さん!?」
あっさり暴露するMAMAさん。しかしその内容は俺の求めていた答えではなかった。
「「・・・・・、なーんだ・・・」」
「なーんだ!?」
もうちょっと進展した何かだと思ったのに・・・。忘れてたぜ、こいつらの進展の遅さをよ。
そんな俺らをよそに、遠くでポンタが獅子王さんを殴り飛ばしていた。
次回更新は3日後の予定です