595.ユウさんファミリーに捕まった②
すみません、場合によっては書き直すかもです
基本4者面談が始まった。味方は誰もいない。しかし獅子王さんはフリーズ中で、ユウさんは傍観のスタンスを取るようで自分から話そうとしないので実質2者面談だ。
この場を仕切っている面談相手のMAMAさんは、僕らを一度見渡してから、僕に向かって頭を下げた。
「まずは夫の無茶については、妻として謝らせていただくわ。本当にごめんなさい」
「いえ、お気になさらず。この手のことには息子さんで慣れてますので・・・」
MAMAさんの眉がピクリとして気付いた。やってしまった。今のは「息子さんも無茶させてます」と言っているようなものだ。慌てて否定しようとしたが遅かった。
「そう、あの子も無茶させてるのね。どうしてやろうかしら?」
「手伝ってもらう事もあるので、恩赦でお願いします」
ユウさんはお母さんに逆らいませんのスタンスなのか、関わらないように終始無言だ。おかげで初めて会う(と言っても実際に会ったわけではないが)ユウさんの母と2者面談している感じだ。知らない人との話は仕事である程度慣れてきたとは言え、終始穏やか口調で何考えているか分からない人の相手は難しい。
「そうなの? なら注意だけにしておくわね」
「ふぅ・・・」
先輩がどうなろうと知ったこっちゃないが、僕が先輩に悪い印象を持っていると思わせないようにしないと。自分の息子を悪く言うような人だと、MAMAさんも嫌だろうし。・・・いや、今更か?
「今更ね。大丈夫、他人に迷惑かける子だとは認識してるから」
「普通に考え読んでくるのやめて貰えませんか?」
「ポンタ、口に出てたわよ」
「あれ・・・え? そうなの?」
危ない危ない、どうやら考えが口から垂れ流していたようだ。今回漏れた内容はまだいいが、肝心なことが漏れるとまずい。
口を押さえて声が出ないようにすると、MAMAさんにクスクスと笑われた。その後まるでユウさんのことをどう思っているかを遠回しに確認するような質問を繰り返した後、MAMAさんは満足げに頷いた。
「なるほどなるほど・・・。まぁあんまり心配してなかったけど、この感じなら安泰、安心」
「な、何がです?」
逆にこっちはユウさん本人を前に、遠回しとはいえ思いを伝えているような感じがして精神的疲労がかなりきている。ユウさんに至っては何を思ってか顔を見せないように俯いてしまっている。
こういう時こそ獅子王さんが邪魔してくれたらいいのに、いまだにフリーズして役に立たない。
「ふふふ、こっちの話。じゃあ最後の質問ね~」
まだあるのか? もう勘弁してほしい。
MAMAさんは僕とユウさんを交互に見て、
「ポンタさんはいつ私の義息子になるのかしら? 予定、聞かせてくれる?」
「「!!?」」
一瞬時が止まった。こんなのいつ結婚するのかと聞いているのと同じではないか! 今まで耐えてきたユウさんもこれで完全にフリーズしてしまった。
「お母さん!!」
「えーだってポンタさんあなたのこと好意的に思ってくれてるじゃない。どうせまたズルズル今の状態続けるんだったらこの場で付き合っちゃいなさいよ~。今ならお母さんの力で何とかしちゃうから」
「だからぁ!」
居心地悪い・・・。
というか直近のメール事件でぶっちゃけユウさんの気持ちはもう確信に近い形で知っている。しかしユウさんが今までのような関係を続けたいのか、行動がいつも通りなのでこちらも動いていない。
もう少ししたらメール事件含めてちゃんと伝える(その際殺られるかもしれないが)つもりなので、出来れば今は僕としてもMAMAさんには何もしないでほしい。
「いい加減にして! 大体ポンタにはまだーー」
「好きだってバレてない? とっくにバレてるわよ。今の問答でお母さん解っちゃったし」
「わー!!! って、え・・・?」
まぁあれだけ気持ちを確認するかのような質問すればね・・・。
MAMAさんを宥める慌てるユウさんは、その言葉を聞いて凍りついた。
「そうよねぇ? ポンタさん」
「ポンタ、そんな事なーー」
「・・・・・」
何となく目を合わせづらいのでそっぽを向いた。それをユウさんは肯定と受け取ったらしい。ワナワナと震えながらみるみる顔が赤くなっていく。
「あ・・、ああ・・・あ・・・」
「あ、あの・・・、ユウさーー」
「わぁあああああ!?」
そして恥ずかしさのあまり・・・消えた。精神が限界に来ての強制ログアウトだろうか・・・。しかしどうしよう、明日からユウさんとどう接したらいいんだろう・・・。
あと、こんな状態で明日獅子王さんと勝負するの?
次回更新は3日後の予定です