594.ユウさんファミリーに捕まった①
「ポン・・・何で父さんが一緒なの?」
「捕まった・・・」
「男2人で語り合ってたのだ」
強制的にだけどね。まぁまぁいい話も聞けたので一応捕まったマイナスは帳消しにできたし、それに話すことで色々覚悟も決まった。捕まった時はげっそりしたものだが、結果的には良かった気がする。
「ところで隣の人は誰?」
ユウさんの隣に立つ魔物。鳥系の魔物がユウさんの側にいた。見た目からして始めたばかりのようだが・・・。
あと名前がMAMAって・・・、まさか・・・
「男か!? ユウ、二股は流石に許容できんぞ!」
「お母さんだけど?」
「ふぁあ!?」
やっぱり・・・。
予想していた僕に対し、獅子王さんはあまりの驚きに硬直した。いや、驚きだけではないな。冷や汗が吹き出している。
「ば、バカ言え! 母さんがゲームに参加だと? 炊飯器の予約が限界の機械音痴な母さんがこのゲームに参加できる訳ーー」
「あらお父さん。私だとマズイの?」
「!!?」
声を聞いた獅子王さんが完全にフリーズした。本人なのだと僕は確信する。そして獅子王さんの夫婦の上下関係も理解した。
「固まっちゃったわね。ポンタ、どこかに捨ててきてくれる?」
「いや、流石にそれは・・・」
冗談だろうが、ユウさんの目は冗談に聞こえない。雰囲気的にいてほしくないみたいだ。
「まぁまぁ、いいわよぉ。後でいいようにしておくから。それより優・・・ユウ、早くお母さんに紹介してくれないかしら?」
「え!? ああ、うん・・・。ポンタ」
「あ、はい」
「こっち私のお母さん。ちょっと訳あって今日からこのゲーム始めるの」
「どうも~、ユウの母でーす。娘がいつもお世話になってます~」
ひらひらと羽を振るMAMA。ほんわかしている感じだが、あの獅子王さんがビビるくらいなので、この人は逆らってはいけない人だと判断する。恐らく先輩の奥さんと同類だ。
「は、初めまして・・・、アバターですみませんがポンタと言います。ユウさんにはいつも助けていただいたりと、とても良くしていただいてます」
「あら、礼儀正しいわね。流石娘が目をつけただけあるわ」
「お母さん!」
ユウさんが止めるが、気にしないMAMAさん。そのまま話を続ける。
「この子と一緒にいるの大変でしょ。私に似てるから結構無茶してるでしょ?」
「そうですか? そんなことありませんよ。むしろ助かってることの方が多いです」
内心では大いにある。主にゲーム内で。しかしMAMAさんが言っているのはそうじゃないだろうからとりあえず否定。ユウさんに恥をかかせない為にもね。
それに助かっているのは事実なので嘘は言っていない。
「ふーん・・・そうなのね・・・。ちなみまこ・・・、息子の方はどうかしら? 同じ部署だと聞いてるけど迷惑かけてない?」
「かけてます。めちゃくちゃかけてます」
助けてもらっていることも多いが、迷惑をかけていることも多いので嘘は言っていない。あの人は一度恥かいたほうがいい。
「あらあら、じゃあ今度叱っておかなきゃダメね」
「ひっ!?」
ユウさんがビクつく。それでこの人が怒ると危険なのが理解できた。やはりリコさんと同類だ。
心の中でだけ謝っておく。
「じゃあそこの夫はどうかしら?」
「えと・・・言う必要・・・あります?」
「ないわね・・・。ごめんなさい。じゃあその辺踏まえてちょっとお話ししないかしら?」
「えと・・・」
出来れば辞退したいのですが・・・。あ、駄目?
ユウさんが首を振ったのを見て諦めた。
次回更新は3日後の予定です