574.特訓することにした
無謀な計画が始まった。いや、無意味と言うべきか。
「まぁやるだけやるか。ポンタが強くなれば戦闘楽になるしな」
「僕今でもある程度できると思うんですけど?」
「そうか? よし、じゃあお前らポンタのダメなところを挙げていけ。改善点だ」
改善点ね。ていうかダメなところって・・・、そんなないでしょ。
「見切り力、間合いの取り方、先読み」
「立ち回り、スキルの使い方、ワンパターン」
「鈍感、主人公補正無し、ギャップ無い」
え? そんなにあるの? というか言い過ぎでは? ・・・そしてココアの挙げてる内容何? ただの悪口では?
「細かく言えばまだあるが・・・、ようはお前そのキャラ使いこなせてねぇんだよ」
「使ってないなまけに言われたくないんだけど・・・」
「じゃあそのキャラの得意なことは何だ?」
「うーん・・・、状態異常! 飛べる、泳げる、遠距離攻撃!」
「・・・まあいいだろう。だが飛べる、泳げるはスキルで簡単になったし、遠距離攻撃は俺らレベルだと大半が持ってるぞ」
「ポンタはもう少しその長い体の使い方をマスターすべきね。自身の体を使いこなすのは初歩よ」
「だな。蛇みたいにクネクネしたり巻きついたりできるんだから、もっと有効活用をーー」
「だって大半はユウさん乗ってるじゃん。そんなことしたら落ちちゃうよ」
「・・・・・、するべきだ」
スルーしたな!? 今。
ユウさんも目を逸らさないでよ。
「と、とりあえずポンタはもっと体を使って戦闘すべきよ」
「・・・もう、2度と誰も乗せない」
「それはダメ。そういう訳だからこれから私と永遠模擬戦するわよ。攻撃の回避力を身につけつつ、反撃できるように体を動かせるようにするわ」
模擬戦? 死刑宣告かな?
あと当たり前のように乗龍拒否を否定されたぞ。知ってたけど。
「よし。んじゃ回避力や体の動かし方、先読みなどはユウとの模擬戦で何とかなりそうだな。それじゃ俺はスキルの使い方でも教えるか」
「遠くから撃つだけのお前に教えられることはない」
「何だと!?」
「スキルの使いかたは動きによって変わるから、それもこっちでやるわ。なまけはポンタが使える戦術を考えて」
「・・・、まあいいだろう」
「あたしも考える! まずはボコボコにやられて、もうダメだって・・・」
「前提がもうおかしい!」
というか僕の戦術は僕が考える!
「別にいいじゃない。使える戦術は増えるに越したことないでしょ?」
「なまけの戦術が使えた試しある?」
「・・・・・。無いかも」
「あるわ! 作戦の・・・ため池である俺をなめるなよ!」
「数、ショボそう・・・」
「そんなに自信もって言うなら源泉だっ! くらい言いなさいよ。それだと溜め込んでるようにしか聞こえないわよ」
「汚そうだよね~。腐った作戦しかなさそう」
期待はしないほうがよさそうだ。
やはり自分で考えーー
「じゃあポンタ。早速始めるわよ」
「え? 今から? 今度じゃダメ?」
「ダメ。当たり前でしょ。時間ないのよ?」
「そう言われても明日の準備もしたいし・・・」
「何かあるの?」
「出張。カイザーさんの代わりに」
まぁ大半終わってるけどね。最近出張増えてきたから、準備ももう慣れたもんよ。ただ遅刻や忘れ物は相手に大変失礼なので、不備がないように今日はもう終わりたい。
というかユウさんには言ってたはずだけど・・・。あ、今思い出したって顔してる。
「・・・しょうがないわね・・・。じゃあ明日から・・・」
「明日から3日出張ですん。ではお先!」
引き止められそうな気がしたので、「ああっ!」と大きな声をあげるユウさんを尻目にログアウトした。
次回更新は3日後の予定です