571.合流してみた
「それはまた・・・、ははは、災難だったな」
獅子王さんのログアウトを確認したら、2人はすぐに合流してきた。話の内容を聞かれたので、状況を説明するとなまけものは楽しそうに笑う。
「他人事!」
「だってそうだし。というか流石に冗談だろ? そんな人事がまかり通ったらパワハラだぜ」
「そうだけど・・・、目がマジだったよ」
そもそもカイザーさんの転勤がうんたらこうたら言ってたから、恐らく枠があるのだろう。で、負けたら僕がその枠に押し込まれるということだろう。
海外転勤自体は出世コース的に悪くないが、出来れば勘弁したい。転勤先の国にもよるが、馴染める気がしないからだ。
「おいユウ、お前の親だろ? 実際のところどうなんだ?」
「知らないわよ」
「・・・おおう」
ユウさんに睨まれなまけものが萎縮する。ユウさんは合流してから機嫌が悪い。と言っても僕に獅子王さんのことで謝ってきたから、恐らく怒りの原因は獅子王さんだろう。しかしそれ程怒るような事はされてないので、そんなに不機嫌になる事はないと思うが・・・。
「いや、なるだろ。成程、物理的に離す作戦か」
「何を?」
「・・・・・。そりゃ恋の邪・・・、どうせユウが異性と一緒に遊んでいるのが面白くないんじゃないか? 父親として」
「だからそういう関係じゃないってあれほど言ったんだけど・・・」
「・・・・・」
「それはそうかもだが、親からすると可能性は少しでも潰しておきたいんだろ」
「そういうものかなぁ・・・」
しかしあの雰囲気だとそんな感じではなかった。どちらかというと、ユウさんの行動を知りたがってただけのように思える。会社でも近況知りたいだけって言ってたし。
「でもそれだと、勝負する意味が分からんぞ?」
「そうなんだよねぇ。まぁ単純にあの人がバトりたいだけだと思うけどさ」
なんせユウさんの親だからね。
「まぁそうだろうな。で、マジでやるのか?」
「やるしかないと思う。逃げれる気がしない」
「俺は勝てる気もしないが?」
「それは僕もしない」
「・・・・・」
大体戦闘に攻撃スキル無しで余裕とか言っているレベルの人だ。スキル頼りで勝率もそれなりの僕ではいうまでもなく次元が違う。勝率なんぞ無い。勝てたら八百長と言われるレベルだ。
「まぁ負けてもポンタが転勤するだけだしな。さらばポンタ、お前のことはすぐに忘れるだろうよ」
「出世して帰ってきて思い出させてやるよ」
「・・・・・」
「マジ? じゃあその時は奢ってくれよな!」
「下っ端に奢るお金なんて無いね」
「なら同レベルならOKか?」
「なら奢る必要ないじゃん」
「俺のほうが上ならOK?」
「上なら奢れよ!」
「俺が金持ってると思ーー」
ドォン!!
そこで大きな音が響いた。発信源はユウさん。思いっきり地面を踏んで音を出したらしく、砂埃が少し舞う。咄嗟になまけものが僕の後ろに隠れた。
「おい」
「あのユウは俺には止められん。というかなんで怒ってるんだ? 俺か?」
「それは・・・、さぁ?」
流石に今回はなまけものじゃないだろう。じゃあ誰だ? って聞くまでもないか。あの人しか居なーー
「ポンタ」
あ、僕だ・・・。
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