554.スキルを取ってみた①
ヨセフを倒したことで現れた階段を下りていく。道中はココアが終始ドヤり続けていた。
「ふふん。今回はあたしの独壇場だったね!」
「・・・言い返したいが、ぶっちゃけそうだから言い返せねぇ・・・」
「なんだかんだココアのひらめきに助けられたよね」
「ココアいなかったら勝てなかったわ」
「ふふん! ふふふん!! そうだよねっ!」
「けど・・・」
「「「もう一回行くけどなっ(ねっ)!!」」」
「!? 何でっ!?」
驚くココアは「もういいじゃん!」というが、そうはいかない。
「俺らは不完全燃焼なんだよ! 勝った気しねぇんだよ!」
「やられっぱなしは嫌なのよね」
「勝ったしいいじゃん。もうくるのやだよ~!」
「それは僕も嫌」
問題はボス戦が始まるまでの諸々だ。もう慣れたとはいえ、ちょっとそれが面倒ではある。主に実を取りに行くのがね・・・。
「それは俺もそう。あの実取ってくるのが特にだるくてなぁ・・・」
「そうなのよねぇ・・・」
「こっち見んな!」
チラチラ見てくるなまけものとユウさん。だるいとか言うけど、一回も行ったことないだろ!
「まぁ強制はしねぇ。今日はもう遅いからな、ココアの気分で決めたらいいさ」
「じゃあ行かない。寝る!」
「了解だ。2人はどうするんだ?」
「「やる!」」
「じゃあポンタ、あれ取ってきてくれ」
「じゃあ寝る」
「OK。じゃあ寝る前にーー」
「取って来いと!? じゃあお前も来い。戦闘面倒だから代わりにやってくれ」
「ん? ああ、それならいいぞ」
よし、これであのだるい戦闘はなまけものに押し付けられるぞ。まぁたいしてあそこの敵は強くないんだけどね。
「ねぇねぇ! それよりアレあったよ!」
「んん? おおっ! 社じゃんか!」
「スキルの時間だぁ!」
「良いのあるかしら」
ココアの指差す先によく見る社を発見。急いで全員が駆け寄る。そして我先にと何があるかをチェックした。
『白炎』
『霊呼び』
『飛翔脚』
『傀儡化』
「『傀儡化』ゲット~」
「ちょい待て! もっとよく考えろ! というかもう説明読んだのか!?」
「まだ〜」
「『飛翔脚』はあるから要らないわね。ポンタはどれにするの?」
「『白炎』かなぁ。まだ中身見てないけど」
『白炎』:SGを使用して自身に白炎を30秒纏う。纏い中はHPを微量回復し、ステータスが微上昇する。
『霊呼び』:SGを消費して霊体を召喚する。召喚される霊はランダム。召喚後は勝手に戦闘し、一定時間が経過するか、やられると消える。一定時間は召喚される霊によって変わる。
『飛翔脚』:空中で跳躍出来る。使用時にSGを消費。連続使用毎に消費SG増加。
『傀儡化』:SGを消費して光弾を飛ばし、当てた相手を一定時間操作できる。操作中はSGを消費し続ける。傀儡化した相手のスキルは使えない。
これは『白炎』で決まりかな。
『霊呼び』は面白そうだがギャンブル性の強いスキルのようだ。ギャンブルスキルはいざって時に頼れないのでパス。
『傀儡化』も面白そうだけど、SG消費が著しそうで恐らく使い勝手は悪そうだ。対人だと拘束できるという点からワンチャンアリかもだが、ボス戦では効かなくて役に立ちそうにない。大体拘束するにも光弾を当てる必要があるし、当てるの下手な僕には無理だろう。
『飛翔脚』? 要らない子ですね。
「おい、今『飛翔脚』馬鹿にしただろ?」
「そんなこと言われてもSG使わなくても飛べるし要らない」
「馬鹿だな。これは飛ぶために使うんじゃねぇよ、空中で瞬時に方向転換するために使うもんさ」
なまけものは自慢げに使い方を教えてくれる。言われると使えそうな気がしてきた。
「む、そう言われると使い勝手良さそうな気がする」
「だろう?」
「まぁそれでも『霧散』でワープ出来るから要らないけど」
ニッコリするなまけものにニッコリ笑顔で返すと、肩を掴まれた。
「表、出ようか? ちょっと語ろうぜ、拳でよぉ!」
「いいぞ! やってやんよぉ!」
ついでに『白炎』の効果確かめてやんよ!
「私も混ざっていい?」
「「それはダメ」」
「何でよ!?」
次回更新は3日後の予定です。