541.白炎ヨセフと戦ってみた④
「ゲホッゲホッ・・・コナクソォ!」
ギリギリ直撃を避けたものの、展開した霧によってダメージを受ける。走って霧の中から出るとそれを待ってたかのように次の攻撃が飛んできた。全て状態異常を乗せてきてないが、HPが減っている現象だと当たるだけでかなりまずい。
「なまけダッシュ!」
「分かっとるわ! 乗ってるだけなら黙っててくれ!!」
そんな中視界の外で金属同士がぶつかる音がする。恐らくヨセフがユウへと攻撃を開始したのだろう。さっきも押されてたし1人で対処させるのは不味い。このままだと確実に傀儡がもう1人増える。
「とはいえ・・・、どうすんだ?」
ココアを向かわせるか? いや、蹴飛ばされて終わりそうだ。
魔法で援護するか? いや、よそ見したら『ミストブレス』を避けきれん。
ポンタをなんとかして助けるか? どうやってなんとかするんだよ!
「頭の上のアレ、消したらダメなの~?」
「・・・・・、確かに。お前天才か?」
「えへへ、知ってる~」
操られているエフェクトかと思って気にしなかったが、ポンタの頭の上の白炎をよくよく見ると、『ミストブレス』を打つたびに大きく揺らいでいる。つまりアレは傀儡になってると分かるようにするためのただのエフェクトではなく、攻撃などで干渉できるということだ。
流石ココア、こういう閃きだけ頼りになるぜ。
「くらえっ、『アクア』!」
ならやることは1つ。回避と同時に跳躍し、『飛翔脚』を数回使ってポンタと同じ高さまで跳ぶ。ポンタが攻撃する前に頭の白炎を『アクア』で撃ちぬいた。ふっ、あの程度の炎。『アクア』で十分だぜ。
「消えてないよ!」
「なんだとぉ!?」
干渉はできるようで、白炎はアクアにより小さくなったものの、まだ往生際が悪く燃えている。再度『アクア』で根元を刈り取るように撃ちぬくと、流石に消えた。ポンタのHPもちょっと減ったが問題ない。
「大ありだぁ!」
「お! 声でたな。動けるか?」
「動ける。助かった!」
「なら早くユウの所へ行け。援護する」
バフをプレゼントすると、ポンタはそのまま転移してユウさんの元へと向かう。
「ふっ、世話のかかる奴らだぜ」
「だね~」
「まぁココアほどじゃないけどな」
「ふふふ、まだ本気じゃないよ~」
「・・・冗談だろ?」
冗談だと思っておこう。
それよりヨセフを倒すことにまずは集中だ。2人が気を引いている間に、現状を確認しつつ対策を考える。
まずはヨセフの状態。現在常時白炎を使用している状態なのか、スリップダメージでHPが減っている。しかし減り量はさっきと同様微量。それでHP0になるまで減るのを待つのは現実的じゃない。
ただHPの総量は減ったのか、掠ったポンタたちの攻撃のダメージはそれなりに入っている。このことからさっきと違って、普通にダメージは入りそうだ。
「それにあのスリップダメージを見る限り、白炎のスキル使わせたらHPさらに減りそうだな。あえて使わせて減らすのも手か・・・」
「イボは?」
「流石になくなったんじゃないか? まぁあんなに速く動かれたらあっても探せないけどな」
実際あの速度に対応できているのはユウだけだ。俺も避けれるかどうか怪しい。初段は避けれても連続は流石に無理だ。
ポンタも反応できないと分かっているようで、ユウがタゲ取ってる間に攻撃して気を逸らすことに徹している。
ココア? 論外だ。
「しょうがないなぁ。ここはあたしが一肌脱いであげるよ!」
「は?」
考えていると、ココアは自信満々にそう言い、突撃していった。
次回更新は3日後の予定です。