538.白炎ヨセフと戦ってみた①
「危ねぇだろうが!」
「文句は鎖に言ってよ~!」
白炎の台座と共に落ちてったココアとなまけものが眼下でいつもの痴話げんかを始めだした。
一緒に落ちたココアが心配だったが、言い合ってる姿から特に問題はなさそう。白炎に直接触れていたが、『ミラーガード』がちゃんと機能したのかダメージはないようだ。
「ポンタ! アレ!」
安堵したのも束の間、ユウさんがある方向を見ろと言ってくる。指差す先にはヨセフが居るが、問題はそのヨセフに落ちた白炎に包まれている。どうやら落ちてきた白炎に当たったらしい。そんな馬鹿な・・・。
「白炎ってヨセフの生命力取るんでしょ? もしかしてこのまま勝てるんじゃないかしら?」
「いや、逆だと思うよ」
「?」
ヨセフがスキルで白炎を放つとHPが減る。このことから白炎=ヨセフのHPと勝手に解釈しているが、であれば現在ヨセフはその白炎・・。HPに包まれているということになる。このまま放出してくれれば問題ないが、もしその白炎を取り込んだらどうなるか・・・。答えはすぐに目の前で起こる。
「HPが・・・全回復した?」
「やっぱり・・・」
全回復するとは思わなかったが、予想通りの結果となる。
ただそれだけでは終わらない。
『・・・我が炎よ。今一度私に力を!』
一瞬でヨセフが白炎に包まれたあと、一回り小さくなった状態で目の前に現れる。その上今までのミイラの状態から一変、頭には髪のように白炎が燃え、白炎が衣となったかのようにヨセフへと巻きつく。その上、ヨセフの空洞の目に白炎が灯った。
「うわぁ・・・。第二形態になっちゃった・・・」
「嘘でしょ!?」
HP回復して面倒だなぁと考えてたが、まさかの第二形態にテンションが下がる。この現状で第二形態はかなり厳しいからだ。ユウさんも頭を抱える。
「ちょっと冗談でしょ? 白炎落としただけなのに・・・」
「いや、落としたから今変わったんだ。多分落とさなかったらHP0にした瞬間変わったと思うよ」
第二形態が存在するということは、どのみち戦闘中のどこかでその姿になると思われる。今回の場合だと、HPを0にしたときに何らかのアクションでこの第二形態へと変わったと思う。
「そうなの!? そんなのHP的に勝てるわけないじゃない」
「いや、恐らくだけど、あの白炎を速攻で落としてればよかったんだ。無駄に高いHPと防御力、回避できない量の降ってくる白炎。普通に考えたらまず倒せないし、すぐに白炎にやられるところから察しろってことか・・・」
壊せないものだと思ってたが違ってた。頑張って避けてたのが悲しい。
「そうなのね。じゃあ仕切りなおして速攻壊した方がいいのかしら?」
「そうした方が楽だけどね。ただ仕切りなおすとなるとまた実を集めるところからになるんだよねぇ・・・」
仕切り直したいけど、ここまで来るのが面倒すぎる。もう少し何とかならないものだろうか。顔パスであそこの岩の扉が開いてくれれば楽なんだけどね・・・。
「大体あの転移場所へ移動するのだってーー」
「ポンタ! その話は後! 下りて!!」
「へ?」
ぶつぶつ言っていたら判断が遅れた。遅いと判断されたのかユウさんが僕から飛び降りる。
そのユウさんが向かう先ではなまけものとココアに高速で接近したヨセフの姿が見えた。
次回更新は3日後の予定です。