535.ヨセフと戦闘してみた⑨
『!? ギェエエエ!!』
踏み潰されたココアから大量の液体がこぼれ出、同時にヨセフが衝撃波を伴った叫び声をあげる。その異変にいち早く気付いたなまけものが叫ぶ。
「凍結か!? いいぞココア!!」
いやその前にココアの心配を・・・って、HPが少ししか減っていないな。しかもダメージの大半はさっきの衝撃波のようだ。踏みつけダメージ『粘体操作』による変形でほぼ軽減したらしい。しかもカウンター気味に『凍傷液』をばら撒くことでヨセフにダメージを与えている。
ココアはさらにその状態から一気に『巨大化』し、ヨセフを仰向けに転ばせた。そしてそのままヨセフに飛び乗り『凍土』を使いつつ『凍傷液』をさらにばら撒く。
ダメージはほとんど入っていないだろうがこれは悪くない手だ。なぜなら凍傷含め、ココアのスキルの大半にあるのは速度ダウン。今はまだ遅いヨセフがさらに遅くなればイボも探しやすい。
しかし・・・、
「ふふん。このまま動けなくしちゃうぞ~」
「「ココアが戦闘で役に立ってる!!?」」
「いつも立ってるよ!!」
そうだろうけど、遊んでいるか寝てるかで戦闘に参加していないイメージが強すぎる。ココアはプンスカしているが、満遍なく『凍傷液』をヨセフにかけている。こりゃ相当スピード下がるぞ。
「ココアのおかげで楽できそうだね」
「そうかしら? 嫌な予感するんだけど・・・」
「? んん?」
今のところ問題なさそうに見えるが・・・HPもなぜかものすごい速さで減ってる。8割あったHPは既に3割を切っている。
凍傷の状態異常にダメージはない。『凍傷液』のダメージも当然ない。減った理由が分からない。
『ギェエエエ!!』
「うわああっ!?」
頭を悩ませている間にまたヨセフが衝撃波を伴った奇声をあげる。同時にココアが吹き飛ばされたので落ちる前にキャッチしておいた。
「お姫様抱っこだ~」
「!!?」
「いや、僕的にはボール持ってる感覚なんだけど・・・」
「ボール!?」
適当にあしらい考え直す。奇声を上げているのはダメージを受けているからだろう。しかし『凍傷液』で? それが効くなら、定期的に打ち込んでいたなまけものの魔法や僕の攻撃が効かないのはなんでだ? 凍傷が弱点? 炎使うのに?
唸っているとココアが急に「ごめんね~」と謝ってきた。
「ん? 何が?」
「最初のね、潰されたときにイボ潰しちゃった。一気に潰すんだったよね?」
「ああ、まぁ一個くらいなら・・・」
「大丈夫」と言いかけて気付く。
ヨセフの奇声は2回。ココアを潰した直後と今。ココアを踏み潰した直後の奇声は、ココアがイボを潰したせいだとして・・・、じゃあ今のは?
またイボが潰れたと思うのだが・・・それにしてはダメージが大きすぎる。同時にたくさん潰したなら話はべ・・・、あ・・・
「ココア。最初のイボって『凍傷液』で潰したの?」
「そだよ~」
「そっかぁ・・・」
ココアは『凍凍傷液』を全身に満遍なくかけていた。そして『凍傷液』でもイボは潰れる。
つまりはそういうことだ。
『『鎮魂火』、『鎮魂火』、『鎮魂火』!』
そして中途半端に潰した結果、こういうことになる。
天井の白炎から回避しようがない大量の白炎が噴き出した。
次回更新は3日後の予定です