529.ヨセフと戦闘してみた③
ユウさんの攻撃が僕に通るようになってしまった。
試しにもう一回角に攻撃をしてもらうと、やはりHPが減る。
「ねぇ・・・、これって・・・」
「うん、どうやら味方の攻撃でもダメージが入るようにされたみたい。下手したらさっき僕がやられたみたいに仲間の攻撃で死んでしまう」
「やっぱりそうなのね。気を付けるわ」
ユウさんはそういうが、ユウさんの攻撃はそこまで問題ではない。ユウさんが剣を振る際に僕が頭の位置に気を付ければいいだけだ。
問題は・・・、遠くで魔法を放とうとしているなまけもの。
ある程度はこちらの視界の邪魔にならないようにや、僕の進む先が射線とならないようにタイミングなどを配慮して撃ってくれるので、直撃を受けることはまずないだろう。だが直撃時の衝撃は別。威力が大きい魔法は、直撃時に衝撃波のダメージを広範囲におこす。なので近くに居ると無視できないダメージが入ってしまうのだ。
それはまずいのでチャットでなまけものに教え・・・あ、なんかココアとじゃれてるな。ありゃ気付いたかな。
なんか「HP減ったじゃねぇか!」とかなんとか聞こえるので、大丈夫そうだ。
「なんか言わなくても平気そうね」
「だね。戦闘中って感じしないけど」
「いつもの事でしょ」
いつもの事で片づけないでほしいが、いつもの事なので何も言えない。
「ん?」
「どうしたの?」
「いや、気のせいかもしれないけどヨセフのHP減ってない?」
「? そうかしら?」
HPバーが少し短くなっているような気がする。白炎を避けているので誰も攻撃はしていないので見間違いだと思うが。減ってくれていたら、ちょっと勝機出てきたのに。
「ポンタ!! 前っ! 前っ!」
「ん?」
悩んでいるとユウさんに前を見ろと叩かれる。叩くのは今更なのでいいが、HPが叩かれるたびに減っていく。減ってくHPにギョッとして前どころではない。
「ユウさん! HP減ってる減ってる!!」
「あっ!? ごめん! どうしよう? 撫でたらいいの?」
「それで体力回復できるなら回復魔法要らないよ」
「バカ野郎。前来てるぞお前ら!!」
『『火炎』』
「「あっ」」
ヨセフが手に集めた白い炎が一気に僕らへと放出された。僕は咄嗟に『火炎』を放つ。ユウさんも同じ判断をしたのか『火炎』を放っていた。互いの『火炎』は僕らの間でぶつかり合う。あっさり打ち負けた。というか僕らの『火炎』は白炎にのまれた。
「「嘘ぉ!!?」」
「2対1だぞ! 何で負けるんだ!」と言いたい気持ちを抑え、すぐさま『霧散』で真下へ転移。ユウさんは僕が『霧散』する前に垂直跳びで上へと逃げている。
避けた後、僕らの『火炎』をのみこんで巨大化した白炎が通り過ぎ、壁へと当たって周囲を火の海にする。
「向こうの方が威力上かぁ・・・。しかも着弾後に火の継続ダメージが入りそうな面を展開するっぽいし」
「下手に炎使うのもまずそうね。相手の白炎を強化するだけだわ」
「それ・・・、ユウさんまた役に立たないパターンでは?」
「やめてよ! 考えないようにしてたのに!」
【海難】の時といい、今回の時といい、ボス戦になるとユウさんの見せ場が一気になくなる。今回は水が無いから問題ないと思ってたが・・・、相手が炎に強いパターンとはついてない。
「でもさっきの『火炎』から推測するに、白炎には炎を当てない方がいいね。ダメージどころか相手の威力を上げるだけのようだし」
「・・・それは、そうね。じゃあこの剣で斬ったらいいのかしら?」
「ダメだね。炎纏ってるし」
「じゃあ私、何したらいいの?」
「・・・・・、見学?」
叩かれた。同時にヨセフの上半身が爆発した。
次回更新は3日後の予定です。