52・4度目、ロイゼンと戦ってみた⑤
『このまま全快させるわけにはいかんし、そろそろ終わらせるぞ?』
「くっ・・・、まだよ!」
ユウさんは粘っているが、状況は良くない。
「ユウ! 下がれ!!」
「! 了解!」
『ほう、他にも持ってたか』
なまけものの声にユウさんが下がる。少ししてロイゼン目掛けて『ファイアボール』が撃ち込まれた。
ユウさんを下がらせたのは爆破に巻き込ませないためか。
というかロイゼンにもろ当たったように見えたけど、倒したのか?。
もと思ったら爆風を剣で振り洗い、ロイゼンが顔を見せる。
爆風で多少のダメージは入ったと思いたいがそんな感じはしない。というか服が焦げていないので、完全に避けられてたか。
「ちっ! もう1発。『ファイアボー・・痛っ!」
「痛い! え?、わっ、ちょ、何?」
なまけもの達が急に攻撃を受ける。ロイゼンは動いていないので違う。
となると・・・
『行くぞ。2体なら俺たちでもなんとか出来るかもしれん!』
『倒せなくとも、ロイゼンさんがあっちを倒すまで足止めするんだ!!』
『『うぉおおおー!!!』』
違う方向から、別の冒険者が走ってくる。
さっき攻撃したのは弓持ちの後ろ2人だな?。というかなぜこのタイミングで?。
『悪いがさっきの『ファイアボール』で隠れた際に援軍を呼ばせてもらったよ。後ろの二体が邪魔でのう、彼らには時間稼ぎをお願いをさせて貰った』
「そんなのあり!?」
まさか冒険者が援軍呼ぶとは・・・。正直なところロイゼンはずっとソロで行動してたので、複数戦を想定していない。
とはいえ呼ばれた以上やるしかないが。
「なまけとココアはそいつらの対処してくれ。僕達はロイゼンを倒す!」
「いけるか!?」
「いくしかないでしょ。ポンタ! 私が隙を作るから、あと任せるわよ!」
そう言ってユウさんがロイゼンに向かって突撃を開始する。
ココアは援軍冒険者の対処の為、ユウさんの回復も半分ほどで止まってしまった。今のままだと『風切』を受けただけでも死ぬかも知れない。
ユウさんがどう隙を作るか知らないけど余り時間はない。
「分かった!」
だから僕もロイゼンへと突撃する。
元々ユウさんとロイゼンの距離は近かった為、既に2人は斬り合いを始め出した。僕はロイゼンを挟み込むように背後へと回り込みながら近付く。
「『溶解液』!」
『ふん』
「そこ! 『紋切』!」
『! ワシもじゃあ!』
互いの『紋切』がぶつかり合う。最初と同様2人は反動で後ろに下がる。
『ぬぅ・・・』
「いたた・・」
同時にダメージが入ったのか2人とも顔をしかめる。というかユウさんのHPがヤバい。
『くっ・・・、まだワシは動けるぞ!』
「私もよ。『雷斬』!」
『何じゃと!?』
ユウさんが消えた。瞬時にロイゼンの後ろに周り、ロイゼンをよろめかせ、ガードに使ったのだろう剣を弾き飛ばす。流石はロイゼンか、剣は弾き飛ばされたがダメージは入っていないようだ。
だが、それで十分。
「『猛毒牙』!」
『ぬぉぉおお!!』
よろめいたロイゼンの首筋に思いっきり噛みつく。数秒でロイゼンが振り払うが、牙を刺した所からドス黒く変色していく。どうやら猛毒状態になったらしい。
『・・・ぬぅ。やりおったな』
ロイゼンはよろけながらも剣を探す。しかし剣はユウさんが既にパクっていた。
僕はまた木の実で回復されるのも困るので、探す隙に『溶解液』を腰のバックに当てておく。
『くっ・・・そこまでするか。武器もないし薬もない、これは詰んだの』
ロイゼンはその場に座り込んで、力なく笑う。
『ははは・・・ワシの負けじゃな。のぅ? このまま毒で死ぬのは嫌だし、さっさと止めをさしてくれんか?』
「分かったわ」
僕が『溶解液』を出そうかと思ったら、ユウさんが近付いて一撃を入れる。
ロイゼンは赤いエフェクトに包まれながら消えていった。
次回の更新は2日後の予定です。