525.合流してみた
ココア :なまけにストレス溜まってる~?
「???」
飛ばされたオアシスでムクマリの実を焼いていると、何の脈絡もなくココアからチャットが来た。適当に「溜まっている」と返しておく。なぜならさっきの戦闘で、僕の線攻撃を回避されたからだ。あとガチで襲ってくるユウさんは恐怖以外の何物でもなかった。
なまけもの :というかお前今どこいるんだ? 早く合流しろ~。あ、ストレスは空っぽにしてから来いよ
ポンタ :今倒されてオアシスにいる。ストレスはチャージ中だから覚悟しとけよ?
ユウ :誰にやられたの?
ポンタ :ユウさんの偽物? いや、3人の偽物にかな?
そう返すと、3人からのチャットがピタリと止まった。少し待っても誰も更新してこない。普通なら自身の偽物に対して何か気になることとかありそうなのに・・・。とりあえず待ってても仕方ないので味に慣れたムクマリの実を齧り、慣れた動きで洞窟を通って、聞き飽きた扉の声を聴いてトラップのある道へと戻ってくる。
「えっと・・・、確か『縮地』で飛び越えるんだっけか?」
偽物のなまけもののに言われたことを試してみる。偽物の言うことだが、可能性がありそうなので試してみようと思ったのだ。失敗してもさっきと同様に移動すれば問題ないしね。
そう思って軽く『縮地』でトラップ通路を飛び越えてみたのだが・・・、
「いけるんかい!!」
あっさり突破。さっきのトラップに嵌った時間を返してほしい。そして『縮地』のありがたみを実感する。そして、最近飛んでばかりで使ってなくて申し訳ございません。
「ん? げっ、来やがった!!」
そして『縮地』で移動した場所より少し先にあの豪勢な扉があり、なまけものたちはその扉の前に居た。
向こうもこちらに気付くと、なまけものがすぐさま嫌な顔をする。
「たんまりストレス溜めて来てやったぞ!! さぁなまけ! 次はお前がオアシスに行く番だ!」
「嫌に決まってんだろ! というかお前倒したのユウだし!!」
「そうだけど、ユウさん怖いからパスで!」
「怖いっ!?」
ユウさんがショックを受けるが、ガチ戦闘時のユウさんは怖いので否定しない。特に目、目が殺意マシマシなんだよね。
あとついでに言うと、殴ったところで当てられる気がしない。
「あたしは~?」
「ココアはさっき何もしてなかったしセーフ!」
「やったぁ~」
「その理屈だと攻撃してない俺もセーフだろうが!」
「なまけは「僕の攻撃を全部避けた罪」が適応されるのでアウト」
「お前の狙いが下手なだけだろ!! ロックして撃ってるだけだから避けやすいんだよ!」
「・・・成程、よくわかったよ」
「こっちもな」
互いの記憶が一致している。これはつまり、さっきやられた相手はやはりみんなだったようだ。偽物なんていなかった。単純に敵対しただけだったらしい。
「しかし、どうやったら敵対になるんだ? お前何やらかしたんだ?」
「知らないって。転移したらみんな居て、何故か攻撃できそうだったからなまけ殴ったらダメージ入ったんだよ」
「そういや急に殴ってきたな。よし、俺も一発殴らせろ。それでチャラだ」
「・・・・・。まぁ、いいよ」
納得いかないが、殴ったのは事実なので受け入れる。なまけものはOKされると思わなかったのか、「いいのか? 本当にいいのか?」と何度も聞いてきた。
「構わん!! ほら、来いよぉ!!」
「いいだろう。死にさらせぇ!!」
踏ん張るために構える僕に、なまけものが大振りの右ストレートを繰り出す。
僕はサッと躱して、カウンターアッパーでなまけものを吹き飛ばした。エコーがかった声を発しながら、少し中に浮いたなまけものはそのまま地面へと落ちる。
「ストレスもすっきりしたし、なまけのダメージもないし、問題なし!!」
ダメージが無いということは、さっきと違って敵対状態ではないということ。もし敵対状態にまたなっていたら困ったが、大丈夫そうだ。
「大ありだぁあ!!」
「じゃあこれで許してくれ」
倒れたままなまけものが叫ぶので、開いた口の中にムクマリの実を放り込んであげた。
次回更新は3日後の予定です。