521.状況を確認してみた
「・・・それで、どうなった?」
「ん。コレ」
結局大したことのないコピーを倒し、一向に来ないみんなを迎えに行くと、そこにかしわもちとロバ吉の姿はなかった。事情を聞きようやく彼らがオアシスへ強制送還されたと知る。
その際彼らは知らずにムクマリの実を食べたというのでどうなったか聞いたわけだが・・・、全容はなまけものから見せられた動画に収められていた。
『『ぶぶへぇ!!?』』
『まっず!!』
『おえぇえ・・・』
『盛大に吹き出したな・・・。だからやめろと言ったのに・・・』
『これ・・・それほど不味いのね・・・。食べる気失せるわね・・・』
『スクショ、スクショ~』
1人撮りまくっている奴がいるが一旦無視しよう。
しかし2人とも盛大に吐いたな。なまけものといい勝負だ。しかしよかった、焼いたもの渡さなくて。まさか敵だったと・・・あ!
2人がオエオエしている間にユウさんが一気にスキルで片をつける。チャンスだったからかきっちり『狂炎舞』と『破剣』で攻撃力をブーストしている。
『卑怯とは言わないでね。敵なんだから』
一撃の元に倒れる2人。普段スキル使わないから分からないけど、攻撃力おかしくないか? 伊達に貰うステータスを攻撃に全振りしているだけある。
「・・・・・」
「ちょ!? いいでしょ攻撃しても!」
「え? ああうん、いいと思うよ?」
攻撃力に言葉を失っていたのが、引かれていたと感じたのかユウさんが慌てて弁明しているが、今回の場合相手の出方が分からない以上、僕もこのチャンスは攻撃しただろう。
しかし彼らを守るために渡したムクマリの実が彼らが倒される原因になるとは・・・。
話を聞く限り・・・、あの時点で恨みを持っていたようなので、今回の件でさらに恨みが増大していないことを祈りたい。
「それに関してはいい仕事したな、ポンタ」
「狙ってないんだけどね・・・」
「だが残念だ・・・」
ポンポンと肩を叩くなまけものがなぜか大きなため息を吐く。何が残念なのか聞くとしょうもない回答が返ってきた。
「だってよ。あいつらの所為でこれがクソまずだってユウらにバレたじゃん。折角面白チャンス狙ってたのによ・・・」
「ああそれ? とっくにバレてるけど」
「ん?」
「私たちにサプライズを用意してくれていたみたいだけど・・・残念だったわね。手に入れた時にポンタから聞いていたわ」
「んん?」
「なまけが1人でワクワクしてただけ~」
「んんんんん? ・・・おいポンタ・・・」
小刻みに震えるなまけものがゆっくりとこっちを見る。
「あ、ごめん。言ってなかったっけ?」
「言ってねぇわ!!!」
とぼけたら咆哮のようなツッコミで吹き飛ばされた。
なまけものはユラリと立ち上がると、ゴゴゴゴゴと効果音が付きそうなオーラを纏いつつこっちを向く。
「俺の楽しみを奪った覚悟はできてんだろうな?」
「できてないから100年待って」
「1年だ」
「90で」
「10だ」
「しょうがないな・・・50・・・50年でどうだ!?」
「ふっ、いいだろう。50年後覚えとけよ?」
ビシッと指を突きつけ、なまけものはそう宣言する。まぁ1日たてば2人共そろって忘れるだろう。意味もないやり取りにユウさんも「何これ?」とつぶやいている。
「それで? そっちの状況は? コピーはどうだったんだよ?」
「え? ああうん。 見た目やスキルは一緒だね。ステータスは全然低いから対して強くはなかった。弱いわけじゃないけど、苦戦はしないかな。スキルを使う頻度も低い」
実際2対1でも多少の被弾で勝てるレベルだ。しかし今回はコピー元が自分たちだったのもあるので余裕をもって対処できた。これが知らないプレイヤーのコピーの場合は、戦闘方法が未知数なのでもう少し手こずったかもしれない。
「ふーん。じゃあ出てきても大したことないんだな?」
「ない」
「OK。じゃあ俺らが疑われる理由の懸念も晴れたし、一旦出て予定通り死霊王のところまで行くぞ!」
「「「おー」」」
次回更新は3日後の予定です。