515.一緒に洞窟へと行ってみた①
「ポンタの予想が正しけりゃ出るかな」
「出てくれると疑い晴れていいんだけどねぇ・・・」
よく伝わらなかったので、全員で洞窟まで来て入ってみる。襲われるためにムクマリの実は使わない。
すると入って早々、あのガチャガチャ音が何処からか聞こえてきた。
「来たぁ!」
トラウマになりつつあるユウさんがゾクリと体を震わせる。
今回はすでにココアの一部を地面に広げた『凍死』床を入口に展開しているので慌てる必要はない。
こうすることで一番最初に入ったなまけものを標的に襲ってきた髑髏は、ココアを踏んで動けなくなり、後から来る髑髏は動けなくなった髑髏に道を防がれて進めなくなる。
「ふっ、完璧な作戦だろ?」
「ココアが『凍死』外したらどうなるの?」
「俺が死ぬ」
ココアの気分で死にそうな作戦だが、かなり有用なようで、先頭の髑髏が動けなくなり、それが邪魔で他の髑髏は立ち往生している。
「うわっ、ココアさんすげぇ」
「ふふん! もっと褒めてもいいよ!」
「「すげぇ!!」」
だが褒められているココアはいい気分らしく、当分は大丈夫そうだ。
「あとはポンタが髑髏の上通って死霊使いを消してくれればOKだからよろしくな」
「いいけど、人任せ過ぎないか? それにこれだと・・・」
僕らの偽物はどう探せばいいんだろうか?
というかそういえばエンカウント時のこと聞いてなかった。
「僕らの姿のやつはどんな感じで居ました?」
「髑髏をあらかた倒しながら進んでいたら、なんか儀式?しているところに居ました。普通に襲われました」
「儀式・・・あそこか? 杖持った奴いなかった?」
「よく覚えてないけど・・・、3~4人いたかな?」
「あそこだな。で、髑髏のように呼び出されたパターンだな」
襲ってきた僕らの姿をしたものは髑髏と同じで死霊使いに召喚された個体のようだ。
であれば予測通り僕らのコピーキャラということで間違いなさそう。なるほど、眷属にされるとそうやって利用されるのか。
「んじゃポンタは儀式付近でちょこちょこ髑髏倒しながら俺らが出てくるまで待機だな。死霊使いには気を付けろよ? というかこっちに呼ぶなよ?」
「呼んでこれと同じ作戦した方が早くない?」
「俺があいつら見たくねぇから」
「あたしも~」
「私もちょっと・・・」
全員がそっぽを向いた。
「全員トラウマになってる!?」
確かに初見はびっくりするけど、慣れるとそうでもないんだけどなぁ・・・。
しかし倒すのは簡単なので大丈夫だけどせめてもう一人欲しいぞ。だが何とか粘ってみたものの、全員首を縦に振らなかった。
大きくため息をつくと、同行していた2人が声を上げた。
「なら私たちの出番ですね」
「僕らがついて行きますよ。この中の道も覚えたいし」
「本当に? いやぁ助かりますよ」
トドとクリスタルの2人を連れて髑髏で詰まっている通路の上の隙間から先へと抜ける。髑髏たちは完全になまけものをロックオンしているようで、前回同様僕らを襲ってくることはない。抜ける際に一体を踏んで倒してしまったが、それでも標的が変わることはなかった。
「抜けれた・・・」
しかし髑髏の上を通り過ぎるというのは2人・・・というよりトドの人にとっては大分辛いようだ。
クリスタルの人は昔のココアと同じく浮遊しているので抜けるのは簡単だけども、トドの人は重い分かなり苦労した。最終的には僕とクリスタルの人で持って移動したくらいだ。
「ちょっと迂回して行きますか。毎回これだと流石に時間かかりますしね」
「ポンタさん一人だと飛んでいくんですか?」
「うん? まぁそうですね。えーっと・・・」
自身の名を呼ばれたので流石に名前で呼んだ方がいいと思ったのだが、今更だけど名前聞いてなかった。
「あ、トドのこいつはかしわもちです。僕はロバ吉と言います」
「あ、ご親切にどうも。今更だけどポンタと言います」
「こちらこそ今更ですみません」
互いに自己紹介を終えて、僕らは迂回路を通って先へと進んだ。
次回更新は3日後の予定です