510.合流してみた
「下種野郎じゃねぇか・・・」
「なんでやねん!」
「毒で弱らせた後、嫌がらせのように解毒を阻止するとか・・・そうとしか言えんだろ。あれか? ずっとユウの相手して相当ストレスたまってるのか?」
「いやいや、なんか無限に出てくるから・・・。あとユウさん相手にはストレスちょっとしか溜まってないよ。なまけはMAX」
「冗談だよな?」
「冗談だよ」
手に入れたムクマリを検証するためになまけものと合流。経緯を説明すると[下種野郎]の称号をもらったが、甚だ心外だ。
一応時間も遅いので聞いてみたけど、なまけものは透明になれると聞いたとたん朝まで付き合うぜと意気込んだため付き合ってもらうことにした。
「じゃあさっそく。はいこれ」
「あん? これがあれか?」
「そう。透明になれる実!」
「つまり・・・、お風呂覗き放題の実だな!」
「・・・・・」
「ちょまて! 無言で通報するんじゃない!!」
「ごめん。もう遅い」
「冗談だよな!?」
「冗談だよ。・・・多分」
「多分!?」
押してはいない。BANされると戦闘がしんどくなるし、ココアの相手が大変だからね。まぁそれは置いといて、検証のためにビクビクするなまけものにムクマリを一つ分ける。
「食ったら消える。冒険者相手なら5分間は姿消せるよ」
「・・・お、おう。冒険者相手ならってことは、プレイヤー相手はどう見えるんだ?」
「それはこれから。まぁ恐らく半透明程度じゃないかな。見えなくなると色々ヤバいから」
「ま、そうだな。じゃあ貰うわ」
「表面硬いから一気に嚙むんだぞ」
なまけものが口に含んだのでそう助言する。当然だが一気に噛むと中の汁などが口に充満して口の中が不味さでえらいことになる。さて・・・なまけものがどのような反応をするのだろうかねぇ・・・。
「・・・何企んでる」
「? 何も。それマジで硬いから」
「・・・・・。まぁ確かに硬いな。硬めの飴噛んでるみてぇ」
ニヤついていたのかなまけものにバレそうになったが、何とかセーフ。なまけものは僕の助言通り思いっきりかみ砕いた。
そして、
「ぶるぅぁあああ!!?」
「わはははっ!」
すっごい変な声とともに全部口から吐き出した。吐き出したため、完全に1つムクマリを無駄にしたが、なかなかのリアクションに大いに満足する。なまけものは口の中のすべてを出し切ろうと、その場でぺっぺっと吐き出し続けている。
「まっず!! うぇぇ・・・、味覚死んだ」
「やったぜ!」
「やったぜ! ・・・じゃねぇ!! 言えよ! まずいなら言えよ!!」
「いやいや。このまずさは一旦体験してもらわないとさ」
「無理。食えたもんじゃない! お前も食えんだろ?」
「それに僕もちゃんと食べたぞ。だから効果知ったんじゃないか」
「・・・・・、それもそうか。やるな、勇者だな」
勇者になってしまった。数秒の称号だが。
しかし検証用のムクマリがなくなってしまったな。取りに戻るのも面倒だし・・・
「誰のせいだよ。まぁいいんじゃね? 直接試そうぜ」
「そうするか」
僕たちは死霊王墓の入り口へと向かった。
次回更新は3日後の予定です