501.湖に行ってみた
「はぁああ~・・・・」
「そんなに行きたかったの? 怖くないの?」
「びっくりはするけど、もう慣れた」
見慣れてくるとそれほどでもない。あの動きは嫌だけど。それに思ったよりも弱かったのもある。なので何度か「やっぱり僕らも行かない?」とユウさんに打診してみたが全部却下された。
どうやらユウさんはあの呪術師が相当なトラウマを植え付けられたらしく、当分暗いところにすら行きたくないらしい。
というわけで現在当初の目的である山頂を目指すため空中散歩を満喫中。なまけものたちがいないなら川を上る必要なんてないからね。
「明るいって最高~」
「それはよかった。あ、なまけから連絡来てるよ」
「あら、本当ね」
なまけもの :おい! 敵居るじゃねぇか!! 髑髏減らねぇ!
ポンタ :おめ、がんばれ
どうやら敵が復活しているらしい。一回僕が出たからかな? いや、それだと確認の為に入った時に出くわすか? 短時間だったから襲われる前に出たのか。
まぁ原因はなんにせよ、今から助けに行くのはちょっと距離があるので自力で頑張ってもらおう。大体来るなって言ったのなまけものだしさ。
「ねぇ、見てあれ!」
「ん? あ、あの湖は!」
川を上りきった辺りまで飛んでくると、さっき転移先で見た湖を発見。さっきは川が無くなってたが、こっちのはちゃんと流れているし、違うプレイヤーもちゃんといる。
その上、湖から突き出した岩もなかった。
「あそこはここがモデルだったみたいだね」
「そうみたいね」
「岩なくて残念だね」
「全然? あったらどうする気だったの?」
「そりゃちょちょいっと穴を開けてダイブ?」
言うと軽くしばかれた。まぁ穴を開ける云々は置いといて、さらっと変なところがないかだけチェックしておく。あの転移先と同じ場所だから何かあるかもしれないし。
「すみませーん!」
岩があった辺りを重点的に見てると、陸地の方から声が聞こえる。振り向くと誰かが手をこちらに振っているので、僕らを呼んでいるのだろう。敵対するつもりはなさそうな感じがしたので、呼んだ人の元へと寄ってみる。相手は大きなトドのような魔物とクリスタルっぽい球体の2人組だった。
「どうかしましたか?」
「ちょっと聞きたいことがあって・・・、時間大丈夫ですか?」
ユウさんを見ると、「いいよ」とと頷いたので肯定する。
「ありがとうございます」
「でも知りたい情報を知ってるかどうか分からないですよ?」
「いえいえ、話あえるだけでOKです。見ての通り二人組なので、聞こうとすると基本襲われるんですよね~」
「ま、返り討ちにしてますけどね~」
こりゃ暗に手を出すとやり返すぞって言いたいのだろうか? そんな見境無しに襲うような輩に見えるのだろうか?
・・・あ、背中に狂戦士乗ってるわ。
「あらポンタ? 何か言いたいこーー」
「無いよ。で! 何かな!?」
苦笑いしたことでユウさんに勘づかれそうになる。強引に話を進めて事なきを得る。
「ああ、えと・・・、僕たち死霊王墓に行きたいんですが・・・」
「死霊王墓?」
残念だが知らないやつだ。あと、名前的にユウさんダメなやつだ。
次回更新は3日後の予定です