500.外に出てみた
「あ、出れた」
洞窟内のスタートに戻ったと思って落ち込んでいたが、実際は似た場所であっさりと出られた。
出入口は滝の裏側にあり、地図を見るとさっき居たところからそれほど離れてはいなかった。川も僕らが先まで進んでいたのと同じだが、この滝は上った覚えがない。恐らくこの滝にたどり着く前にはもうあの空間に飛ばされていたのだろう。
まぁそんなことは置いといて。僕は出れたのを確認すると、まず一旦引き返し探索。
転移した場所まで一旦戻り、転移陣に飛び乗る。転移後すぐ気付かなかったが、転移した時と同じ転移用の陣があの場所にあったので調査のために転移してみた。想定通り、転移先はさっきの迷路の転移陣の上。どうやら同じマークの転移陣同士で行き来ができるようだ。
それを確認し終えると一旦外に出て喜びを報告。
ポンタ :出れた!!
なまけもの :おめ!! さぁ場所教えろ、あの意味不明なやつらに制裁の時間だ!
ユウ :私あれ嫌。なまけ、倒したら言って
ポンタ :え? 全部蹴散らしたけど
なまけもの :マジで? じゃあお前を制裁だ!
ポンタ :なんでだよ!
なまけもの :聞かなくても分かるだろう?
そんなやり取りをしながら入り口で待っていると、ココア、ユウさん、なまけものの順に合流。各自バラバラで入口を探していた為、一番近くに居たココアが早かった。その後すぐユウさんが合流したが、最後に来たなまけものは少し遅かった。
理由は・・・、
「なんかボロボロだな・・・。どうしたんだ?」
「調子乗って身体強化して移動してたら・・・崖から落ちた」
ダメージこそなかったけど、なまけものはボロボロの状態だったので一瞬何事かとギョッとした。敵にでも襲われたかと思ったが、原因はどうでもよかったわ。
そしてそのボロボロの状態は、なまけものがプルプルと体を振るうだけであっさりと元に戻り、気分も変えたなまけものは早速行こうぜと言わんばかりに、滝の裏へと入っていく。
しかしそれに待ったをかけたのはユウさん。
「待って! 本当に行くの?」
「行かないという選択肢があると思うのか?」
「思う。むしろ私には行かないという選択肢しかない」
「ならお前はそこでポンタと戯れているがいい」
「いや僕も行くけど?」
「どうしてっ!? もう散々歩き回ったでしょ!?」
「まぁ・・・そうだけど・・・」
出口探すのと何かあるか探検するのは違う。出口があるという安心感があるのとないのでは焦りが違うからね。当然焦ると見つかるものも見つからない。
しかし行こうとする僕の肩を、なまけものがポンポンと叩く。顔を見ると意味ありげにニッと笑った。
「お留守番しとけ、な?」
「・・・・・」
イラっとしたが抑え、なまけものとココアを見送る。ココアも残ると言い出したが、なまけものが無理やり連れて行った。なんで僕はダメで、ココアは無理やりにでも連れて行くんだ? 逆なら win-winじゃないか!
「・・・さっさとやられてしまえ」
「・・・声に出てるわよ、ポンタ」
おっと・・・本音が出ちゃったか。
次回更新は3日後の予定です