499.洞窟に入ってみた④
出れない理由を説明すると、ユウさんらはこっちに来ると言い出した。そうしてもらえると助かるのだが、怒れるユウさんがこっちに来るのはやだなぁ・・・。出口探すのやめようかな・・・。
「とはいえ・・・ずっとこの中に居るのは嫌だしなぁ」
そう考え、人型へと姿を変えて歩き出す。しかし出口がどの方向にあるかが全く分からないので、迷路を抜ける技と同じように左壁に常時手を当てて、全角左曲がりで進むことにした。こうすれば時間を犠牲に100%どこかにたどり着けるはずだ。
そしてかれこれ30分・・・
「また行き止まり・・・」
深くまで続いていて「もしかして当たりか?」と思わせた矢先の行き止まり。これで8回目だ。いい加減キレそう。
上とか下に道がないかもチェックするがやはりだめだった。仕方なしに引き返す。
ポンタ :出れない・・・。泣きそう
なまけもの :こっちも全然入口見つかんねぇ・・・。くそっ、早くしないとユウがポンタ成分なくなって暴れ始めるぞ
ユウ :暴れないわよ!
ココア :なまけ成分じゃダメ~?
ユウ :ダメ。ニートになりそう
ココア :確かに!
なまけもの :名前だけで勝手に効果決めんな!
ポンタ :でも脂こってりしてそうな成分だよね。ラーメンばっかり食べてるし
ユウ :うわぁ・・・、ダイエット苦労しそう・・・
ココア :テカテカしそう~
なまけもの :体脂肪10%台だぞ!! 脂っこくねぇ!
時間が掛かりすぎたからか、ユウさんも通常運転へと戻っている。
なまけもの側でも入口を手分けして探してもらっているが、見つからないようだ。あっちは平地だからもうちょっと見つけやすい筈なんだが・・・やはり隠されているのかな?
なまけもの :それで敵は? もう出てこないのか?
ポンタ :今のところはね。だーれもいないぜ! はぁ・・・寂しい
なまけもの :ユウ! ポンタが寂しがってるぜ?
ユウ :いちいち振らないでくれる? ちゃんと探しなさいよ!
ポンタ :怒られてやんの
ココア :怒られてやんの~
なまけもの :怒怒怒怒怒!
とうとう言葉すら忘れたようだ。
ただ一人で作業的なことをしていると、こういうチャットが地味に気が紛れていい。くすっとしながら[笑]を返しておいた。[殺]が返ってきたが無視する。
「・・・これかぁ・・・」
丁度なまけものからの返信と同タイミングで見つけた。
ここは自然にできた洞窟に、整形したり人工物がところどころに埋め込まれたりと人の手が加えられた洞窟だ。だから人工的なものが置かれていても不自然ではないが、そんな状況でも明らかに不自然な場所があった。その辺の人工物は洞窟の色合いに合うようなものになっているが、そこの床だけ鉄の鈍い銀色をした鉄板のようなものが埋まっている。
それだけだと不審に思うだけで通り過ぎる人もいるだろうが、その鉄板に紋章の陣がある以上立ち止まらずにはいられないだろう。しかもその淡く発行している紋章は、あのしゃれこうべの内側に書かれているものと同じだったとなれば尚更だ。
ポンタ :あの紋章見つけた。転移陣っぽいの
なまけもの :よし、飛び込め
待てなんて言われるわけがないので、なまけものが返すと同時に飛び込む。すると目の前が真っ白になり、僕の体はどこかへと飛ばされ・・・、
気付いたら見覚えのある洞窟の中にいた。
「あっ、ここユウさんが慌ててた場所だ・・・。え? マジで?」
まさかのスタートに戻る。僕はそこで呆然とした。
次回更新は3日後の予定です