498.洞窟に入ってみた③
逃げたとはいえ、洞窟からは出られてないし呪術師たちが諦めるってこともないだろう。
であれば倒すか脱出しか生きるすべはない。
なまけものやユウさん、ココアはすでにやられたようだ。レーダーに映る彼らは遠くにいる。恐らくオアシスへと飛ばされたのだろう。
呪術師に補足されているからかオアシスへの転移はできそうにない。それに転移してしまうとこの場所が分からなくなるので、次来ることができなくなる。いや・・・来たくはないんだけどね・・・。
「さて、どうしよう・・・」
脱出するにも道が分からない上、今いる場所も分からない。のんびり探索して探したいところだが呪術師たちがいる。かといって止まっているわけにもいかない。変わらず呪術師の奇声は聞こえているので、止まっていればすぐに襲ってくるだろう。一人は多分猛毒で倒せたと思うのだがそれでもまだ3人いる・・・いや、まてよ・・・。
逆に考えればこれだけ広い?洞窟で敵は3人しかいないと考えればどうか?
「全員猛毒状態にすれば、後は放置で勝てるんじゃないか?」
猛毒にしたときにHPを確認したところ、減り具合から奴らのHPはそれほど高くないように見えた。つまり猛毒にして放置すればそれほど時間をかけなくても倒せる可能性が高い。短時間であれば逃げきれる確率も上がるので勝てる見込みもある。
そして勝てたのならのんびり洞窟探検できる。
よし・・・、ならやるか。
そうと決まればまずは奴らが来るまでに下準備だ。当然3対1でまともにやりあって勝てる見込みなどないので、トラップを仕掛ける。
大したものではない。奴らは走って来るので、適当に穴掘っていれば勝手に落ちるだろう。
今居るのは洞窟内の少し開けた場所。この場所からの通路は前と後ろと左の3カ所だ。呪術師たちはそのどこからかから来ることになるので、すべての入り口部分に軽めの穴を掘る。深いのは無理だ。時間がかかるのでぶっちゃけやってられない。膝程度まで掘って、引っかかってこければそれでいい。後は『猛毒霧』を当てて終わり。我ながらなかなかの作戦だと内心では鼻高々だ。
「・・・は?」
しかしその作戦はあっさりと失敗に終わった。地面を掘ろうとしたら硬すぎて掘れなかったのだ。
それくらい先に調べとけよとなまけものに突っ込まれる幻聴が聞こえ、高々と伸びた鼻が折れる音すら聞こえる。
ついでに言うと後ろから奇声も聞こえるね。
『『『キエェエエエエ!!』』』
「来るの早いわっ!! 『ミスティックフィールド』!」
半分やけくそで『ミスティックフィールド』を展開。これは展開範囲内の相手を幻覚状態にする技だ。PvP専用技と思って冒険者相手には使ってなかったが、CPUの冒険者(呪術師が冒険者なのかはともかく)相手にも効果はあるらしく、呪術師達はその場で杖を振り回したり、めちゃくちゃに走り回ったりしだした。奇声も相まって完全に危ない人と化している。
僕は狙いやすい杖を振り回している奴から順番に攻撃して倒し、幻覚の効果が切れる前に全員を倒した。ちゃんと対応すればたいして強くないことが分かり一安心。これでゆっくり出口を探せるぞ・・・ん?
ユウ :ポンタ、終わったらでいいから合流して。ちょっと話があるんだけど!
ココア :だけど~!
なまけもの :俺みたいになりたくなかったら早く来たほうがいいぞ・・・
げっそりした。どうやらユウさんが怒っているらしい。
なまけものがどうなったかは知らないが、早く来ないとまずいことになりそうだ。
しかし・・・
そう言われても出れないんだけど・・・
次回更新は3日後の予定です。