496.洞窟に入ってみた①
渦に飛び込むとそこはユウさんが阿鼻叫喚する洞窟でした。
「いやあああああ!!」
「うわっ!? 何! 何!?」
「上! 上ぇ! 早く!」
降りるなり飛び乗ってきたユウさんに急かされる形で上昇。しかし渦に入って降りてきた穴はいつのまにか塞がれており上へといけない。
「あれ? 入口消えてる!」
「嘘でしょ!? じゃあアレどうするのよ!?」
「アレ?」
ユウさんに言われて下を見てみる。すると下ではなまけものとココアが大量の骸骨の集団と戦っていた。彼らは思ったよりも多い骸骨達に苦戦気味だ。
そしてユウさんが慌てている原因も理解できた。あそこまで多いと逆に現実感無くてあんまり怖くないと思うけど・・・、ユウさんはダメなようだ。
「とりあえずここに居て」
「う、うん・・・」
ユウさんには天井から伸びてるつらら石に掴まってもらい。なまけもの達へと加勢する。
骸骨達は洞窟ある一方から向かってきている。なまけもの達はまずココアの『凍土』などで移動速度を下げて複数を巻き込む全体攻撃で数を減らしているようだ。しかし減らしても一定数を切ったところでまた数が増える。
「苦戦してる?」
「してるから手伝え。一体一体は雑魚なんだがキリがねぇ。多分無限湧きしてる」
「じゃあ発生部分潰してきたらいい?」
「おう。40秒で始末しな!」
「はいはい・・・、まぁ早くするよ」
なまけものが言っても全然様にならないな。まぁ言いたいだけだろうしいちいちツッコミもしない。
僕はどこまでも湧いてくる骸骨達の頭上を通り過ぎて出現位置を探す。骸骨達は攻撃の届かない高さに居るからだろうか、僕には見向きもしなかった。お陰でスイスイっと進み骸骨達の出現位置までと行けた。
行けたが・・・、
「うわぁ・・・何これ・・・」
着いた場所には4人の呪術師っぽい人間と呪術用の祭壇があった。
祭壇の上段には大量のしゃれこうべを固めて作った大きな円形の香炉のような物に、10本の十字架が差してあり、それぞれに誰かが磔にされている。
呪術師っぽい人間は白く燃える火の杖を掲げ、その香炉を取り囲むように立ちながら何か呪詛のようなものを垂れ流しており、10秒程度の間隔で呪術師の側に骸骨が召喚されている。
てか、あの呪術師たちって生きてるのか? 目玉もないし・・・見た目はもはやミイラなんだけど・・・。
「・・・関わりたくないなぁ」
とはいえこのままだと骸骨が永遠と湧き続けるので、『ミストブレス』で真ん中の香炉を吹き飛ばした。呪術師を倒しても良かったのだが、香炉を破壊する方が素早く止まると思ったからだ。その読みは正しく、『ミストブレス』を受けた香炉はその場で崩れ、同時に骸骨の召喚も止まった。
ついでに言うと呪術師達の標的にもなった。
『『『『キェエエエエエエ!!』』』』
「うわっ!? うるさっ!」
けたたましい声に驚き、嫌な予感から早々に逃げる。
しかし呪術師たちは瘦せこけた体からは想像もできない速さで追ってくる。顔の怖さもありもはやホラーでしかなく、のろまなさっきの骸骨たちよりも全然怖い。
「なっ!?」
そしてさらに問題が重なる。
この洞窟・・・分けれ道がかなり多い。一本道に見えていたが、それは行きの時だけだったらしい。いやらしいことに行きの方向だと一本道に見えるように分かれ道が作られていた。
当然だが、分かれ道に気付いていないのでどっちから来たかなんて分かりゃしない。とにかくレーダーの仲間の位置を頼りに適当に進む。こういう時、骸骨たちの足跡が残っていれば楽なのにと思うが、適度な暗さもあり、足跡が見えない。
「なぁ!?」
そして何度か分かれ道を通り過ぎた後、行き止まりに到達。「掘ってる途中かよ!」と言いたくなるくらい急に道が終わっていた。抜け道? あるわけない。
『『『『キェエエエエエエ!!』』』』
「ぎゃあああああ!」
壁を叩く僕にものすごいスピードの呪術師たちが襲い掛かってきた。
次回更新は3日後の予定です。