495.道を出現させてみた
「次右回りね」
「うーい」
「次左前の少し遠めの岩な。2周だから気をつけろよ」
「はいはい」
「まっすぐだよ~」
「了解」
何故か三人の指示に従って模様の通りに進んでみる。普段から指示をするユウさんはともかく、他の2人は指示通り僕が動くのが楽しいようだ。
「左前」
「右のやつ」
「まっすぐ~」
「どれ!?」
船頭が多すぎる・・・。
というかみんな同じの見てるはずなのになぜ違った指示になるのだろうか? 結局声のデカかったなまけもののルートにしたが・・・、間違っていたのか何も起きなかった。
「ほら! やっぱり左だった!」
「いや、あそこは合ってた! そこ以外で違ったんだろ!」
「まっすぐだよ~」
「なんでだよ!? まっすぐ進んだら岸に着くだろ! てか半分寝てるだろお前ぇ!」
面倒な・・・。もう勝手にしてくれ。
結局自分でやった方が早いと確信し、模様のルートを確認し進む。このようなルートを覚えるのは得意なのでサクッと記憶し、3人が言い争っている間にスススっとクリア。それと同時に、目の前に大きな渦が現れる。渦の底は暗く何も見えない。
「「「!?」」」
そしてそれに気付いた3人が驚いた。
僕はココアの読みが当たってた事にびっくりしている。いや、信じてたけどね。
「は? ポンタなんかしたのか?」
「3人が遊んでる間にルート覚えて終わらせたけど?」
「いやいやあんなルート覚えられるわけないだろ・・・」
「行く岩の順番とどう回るかさえ覚えれば結構簡単だけど? 普段からどこ行くにもナビ使うから覚えられないんじゃない?」
「使える文明の利器は使うべき! 俺は文明の利器に頼ると決めている! 今までだってそうしてきた」
「あたしもそうしてきた!」
威張って言うことじゃないんだけど・・・。まぁいいや。
「じゃあなまけ、下調査してきて」
「何が「じゃあ」なんだよ? こういう時はじゃんーー」
「ユウさんお願いします」
「任せて!」
すでに落とすモーションに入っていたユウさんが、僕の言葉と同時になまけものを突き落とした。しかしなまけものは逃がすまいと手を伸ばし、
「まだだ、お前も道連れだぁ!」
「!?」
ユウさんを掴もうとして、ユウさんの足元に居たココアを掴んだ。そのまま「あっ」と間抜けな顔をしてびっくりするココアとともに渦へと落ちていく。
しかしココアもそのまま落ちていく気はないらしく、体から手を伸ばしてユウさんの足へと巻き付いた。
「ちょ!?」
「ユウちゃんも道連れだぁあ」
「いやあぁあああぁぁ・・・」
「・・・・・」
ユウさんの悲鳴が小さく響きながら渦の底へと消えていく3人。僕だけ取り残された。さらにどうしようかと悩んでいる間に出来た渦も消えてしまい池にポツンと独りぼっち状態となった。周りに生き物も何もいない静寂の中、風でなびく水面の音だけが聞こえる。
はっきり言える。めっちゃ落ち着く。
「ちょっとのんびりしてから追おうかな」
フィールドはまだ縮小中だが、まだ時間には余裕がある筈。少しのんびりしてからもう一回渦出せばいいや。
なまけもの :頼むポンタ! 早く来てくれ!
「・・・・・」
しかしそうはさせまいとなまけものからのチャット攻撃。
僕は大きくため息を吐いて、のんびりとルートを通り渦を出現させた。
次回更新は3日後の予定です