492.閉じ込められてみた①
感じた不自然を確認するため、一旦陸へと上がり状況確認を進める。まず別れて周囲をざっと散策してみたがやはり人っ子一人いない。鳥などの小動物ですらいなかった。
これだけでも怪しいが、決定的だったのは見えない壁があること。まるで箱庭の壁のように、向こうの景色はあるのに何かに阻まれて行けなかった。
他方を調べた他の3人も同様の結果だったことから、恐らく四角いフィールドに移動したと結論付ける。
「じゃあちょっと飛んでくる」
多分同じだろうとは思うが、念のため上空も同じか確認しておく。
「おう、あんま離れんなよ? 死んだら知らんぞ」
「了解」
「私が守るから大丈夫よ」
「でもユウさんいるといざって時『霧化』とか使えないし・・・、どっちかというと邪ーー」
「ん? 何か言った?」
「・・・何でもないです」
言葉の圧が強くなったのであきらめた。
仕方なしにユウさんを乗せて上昇したものの、やはりある程度の高さまで上がったところで空にぶつかった。やはり上にも見えない壁があった。これで完全に囲まれたわけだ・・・。
「ダメか・・・」
完全に今までのフィールドから隔離されたと考えていいだろう。だが問題は何時からかだ。いや、予測は付いている。恐らくあの舟と会った時だろう。
ただ会った直後はユウさんを迎えに行ったり道中他のプレイヤーを見ていたので、その時はまだセーフだった筈。となればなまけものたちと合流した後の方が正しいか。でもあの時と言えば・・・なまけものが髑髏いじってたりユウさんが壊したりしたくらいで・・・。
「なまけものが急に投げたから、びっくりして振り払っただけだからね」
「ちゃんと見て叩き落してたよね?」
そういえばあのしゃれこうべの内側には変な模様があったな。あと壊れた時に、何か煙が出てた気がする。あれが原因か? いやでもあの時転移したわけでもなかったし・・・。
「幻覚って線はないかしら? それなら転移しないでしょ?」
「幻覚かぁ・・・、確かにありえそうだけど・・・」
だが幻覚は実際と違う映像が見えるわけなので、この見えない壁の説明ができない。単純に四方が壁の空間の中で見ているのであれば分かるが、さっきも言った通り転移はしていない。どっかの映画見たくトンネル抜けたら違う世界だった・・・、とかなら話は変わるが・・・。
「トンネル?」
「あ、いや。潜ったら世界変わるって話よくあるから・・・」
「潜るっていうならあの妙な橋でもいいのかしら?」
「橋?」
橋なんてあったっけ?
そう聞くと、ユウさんは「アレよ、アレ・・・」と言いたい言葉を探し・・・
「ほら! 吊り橋!」
そう言った。
一瞬そんなのあったっけ?と思いつつ道中を振り返ってみる。そしてユウさんが言いたいものに気付いた。
「あ! アレ!」
「そうアレ!」
道中、あの後滝を登る前、両側がもの凄く高い崖の間を通った際に、上に今にもちぎれそうな橋があった。あまりにボロさにみんなして渡る気が失せたほどでぶっちゃけ橋として機能しているか怪しいくらいだ。今思えばあの橋と左右の崖で門と見えなくもない。
時系列的にもしゃれこうべを壊した後なので辻褄は合う。多分そうだ。
恐らくしゃれこうべに触れるか壊した者にマークがついて、マークが付いた者はあそこを通る際にここへと閉じ込められるのだろう。
「じゃあ戻るには!」
「戻ってあの橋を潜ればいい!」
次回更新は3日後の予定です