488.次に進んでみた
暗い視界の中、自身の周囲で何かされている音だけが聞こえる。自身にも何かされている気がするが、感覚が無いので分からない。だがなまけものの作戦だ。面倒な予感しかしない。
そう思い、身動きが取れるようになったどうするかを考えていると、唐突にココアが「あっ!」と大きな声を上げて視界が戻ってきた。
誤って僕から手を離したのか? すぐに『霧散』で場所を転移する。しかし慌てて転移した先で見たのは、自身の目の前に浮かぶ[WIN]の文字。
よく分からないが勝ったらしい。
「何が起こった?」
「・・・猛毒でココアのHPが無くなったんだよ。全く・・・HPの確認くらいしとけって」
「思ったよりも早かった~」
「あ、そういうこと」
猛毒にしておいてよかったぁ。おかげでなまけものの変な作戦にやられずに済んだぞ。
「ねぇねぇポンタ。もう一回しよ!」
「やめとく。僕はこれからやることがあるから」
「え~!?」
そう、殺ることがあるんだ。主にさっきの助言とか嫌がらせしようとしたこととかね。
「何か用事か?」
「うん。ちょっとなまけにね」
「そうか悪いな。俺も用事あるんだわ。じゃ!」
しかしそれはなまけものも予測していたらしい。僕が答えた瞬間、即座に逃げだした。察しがよすぎて嫌になるね。
「ココア!」
「! 捕まえるんだね! やる!!」
「あっ、ちょ・・!?」
だがココアの近くに居たのが運の尽き。ココアの伸ばした手に触れられ、一瞬にしてその場に倒れた。
「捕獲~!!」
「グッジョブココア」
「いいわよココア。さて・・・やるわよ」
いつの間にかユウさんも参加。楽しそうなので止めはしない。止められもしない。
・・・
・・・・
・・・・・
「あぷっ! あぷっ、お、おいぃ・・・。助けてくれぇ!」
「お前が考えた作戦だろう? 気分はどう?」
「最悪だー!」
今なまけものはココアが『生成』した球体の大きな容器に海水と一緒に入ってもらっている。
作り方は簡単。『生成』した球体の容器を用意し、中に海水を溺れない程度に入れる。あとは行動不能にしたプレイヤー(なまけもの)を入れるだけ。『凍死』を受けたプレイヤーはその場から動かせない仕組みだが、動かせるものに乗せて『凍死』させれば苦労するけど移動は出来る。ちなみに今回は海獣となった僕の背中に乗せて運んだ。
入れてしまえば入口を蓋をするだけで簡易拘束ドームの出来上がり。あとは揺すって中の反応を楽しめばOKだ。
中々鬼畜だが考えた本人は僕らじゃないので許されるはず。
「凍らせるオプションもあるよー」
「いらねぇ! てかいつまでやるんだよっ!?」
「あたしが飽きるまで〜」
「いつだよ!?」
まぁまぁ酷いことしてるように見えるが、実のところなまけものが魔法使えば簡単に破壊できる。だから実際はなまけものもわざと捕まっているフリをしている。
だからさ・・・通りがかりの人達、通報はやめてね?
「というか飽きたわね」
「だね。先行こうか。どこ行く?」
「海じゃないところ。当分海見たくないわ。あとアレも」
「ははは、【海難】ね。・・・まだ居るんだ」
ユウさんの指差す先に赤い姿が見える。探すと見つからないのに、探していない時にはちょこちょこエンカウントするのはどのゲームも同じか。
「じゃあ陸のほうに行こうか。アフリカを南下する? ここから東に行く?」
「そうねぇ・・・。暑そうだから南下で」
「了解」
言われた通りユウさんを乗せて南下。
海嫌って話だし・・・。山でも行こうかな。
「ちょおおーい!? 俺放って行くなぁ!!」
次回更新は3日後の予定です