487.ココアと勝負してみた③
「くらえっ!」
「うおっと!?」
なまけものがばらしたせいで極太の『眼光』が何度も飛んでくる。流石に回避しないとまずいので、距離を取りつつ上空を旋回して逃げ回る。
「ポンタは何で反撃しないの?」
「ポンタのスキルよりも射程、速度、今の状態だと威力もか。それ全部『眼光』の方が上だからな。下手に近付いて攻撃しようとしたところで撃ち負けるし、近距離に近付いて攻撃しようにも捕まったら終わりだ。ココアに『眼光』がなけりゃ中距離からちまちまやって簡単に勝てるのにな。あとは時間稼ぎだな」
「時間? あ、猛毒のね」
「ああ、放っておいてもココアは死ぬからな。無理に攻める必要はない。逆にココアは死ぬ前に仕留めないといけないから攻め続けてるわけだ」
「あっ! 毒状態だった! やばい~」
「そうか。放っておいても勝てるだった!」
「本人たち忘れてたみたいよ?」
「・・・・・」
何その「まぁあいつらだしな・・・」みたいな顔は!! ちょっと忘れてただけじゃないか!
「当たらない~!!」
「ココア。要は『霧化』を使わせればいいだけなんだから、一点を狙って攻撃しなくていいんだぞ。全方位に撃てばいい」
「あっ成程!!」
「!? おいこらなまけ! 教え・・・うわっ!」
なまけものの助言通りココアが全方位に『眼光』を放つ。目という制限があるからこそのSG消費の低さなのに、あのような抜け道で高威力と広範囲を切り替え、かつ射程超は大分ずるいと思う。
一旦『霧化』はOFFにし、回避に専念する。しかし目の数が多すぎて回避しても避けきれずにダメージが蓄積する。一発の威力がそれほどでもないのが幸いだ。
だが、このまま受け続ければココアの猛毒より先にHPが0になって負ける。
「『霧ーー」
「ポンタはダメージが蓄積すると、打開のためにお前の後方に転移して近距離から攻撃してくるだろうし、消えたの確認したらすぐに触手伸ばせ」
「ーー散』!?」
なまけものに完全に読まれたとおりに移動してしまった。当然なまけものの予測を聞いていたココアもそのように動き。転移直後の僕にココアの手が襲い掛かった。
「やばっ、Oーー」
『霧化』をONする前にココアの手が触れる。同時に視界が暗転し体が一切動かせなくなった。イメージとしては画面が真っ暗な状態でフリーズしたような感じだ。
「捕獲~!」
「やったなココア」
「ふふん。あたしにかかればこんなもんよ!」
「俺の助言のおかげだろ。さてと・・・捕獲されたポンタの間抜け面でも見るかな」
(間抜けはそうだが、殺してやろうかな?)
動けないからか無性にストレスが溜まる。声だけ聞こえるのが蓄積に拍車をかける。というかなまけものが助言しなかったら僕が有利だったよな? つまりこうなったのはなまけもののせいだよな?
「さてさて~。どうしよっかなぁ~」
「とりあえず氷漬けにして遊ぼうぜ」
「でも動けるようになったらすぐ避けられるかもしれないよ?」
「だからな。・・・・・・」
「成程~!」
なんか耳打ちしてやがる。なまけものから先に片付けるべきか?
次回更新は3日後の予定です。