485.ココアと勝負してみた①
話が進まないので、ココアにはなまけものから距離を取ってもらった。
「で? 何がヤバいの?」
「ココア。『粘体操作』でどこまで体伸ばせる?」
「え? えっとねぇ・・・」
なまけものに言われたココアが体の一部から棒のように体を伸ばす。まるで棒に押し出されているかのようなそれはどんどん伸び、ものの数秒で数メートル先まで伸びた。
「これ位!」
「よし。因みにその伸ばした体は自在に動かせそうか?」
「動くよ。ほらっ!」
ココアは一直線に伸びた体を波のようにしならせる。途端に棒状のものは鞭へと変化した。かなりの速度でしならせることができるようで、十分攻撃手段になるだろう。
「ただ体の形を変える程度かと思ってたけど、前の『氷体操作』より使い勝手がよさそうね」
「上手いスライム使いはこの『粘体操作』だけで攻撃、防御、回避して勝つくらい優秀なスキルだからな。『巨大化』を併用すれば、体積が増えて攻撃範囲や鞭の本数、威力が増えるし使いこなせばワンサイドゲームにできることも多い。初期選択種族NO.1は伊達じゃないぜ」
「でもスライムって最近あまり見なくない?」
「確かに割合で言うと少なめだよね」
「強くても見た目グミだからな。みんな飽きるんだろ」
「「確かに!」」
見た目は重要。確かにそうだ。
「だが、そのせいでスライムのやばさに気付かない奴も多い。使い手と当たったら笑うくらい何もできんぞ」
「でもそれスライムがヤバいって話だよね?」
「ああ。ココアはそのスライムのヤバさに『凍死』効果で触れると行動不能にできるヤバさが追加される。分かるか? あの自在に動く体に触れた瞬間終わるんだぜ?」
「「・・・分からない」」
「何でだよ!」
そういわれてもピンとこない。確かに行動不能にはなるが、行動不能中はダメージを一切受けない以上、それほど問題にはならないはずだ。確かにあのよけにくい攻撃で行動不能は脅威ではあるが・・・。
「なら決闘で試してみるといい。ココア、思いっきりやってやれ」
「ふふーん! 任せてよ!」
「いいけど・・・」
なまけものに言われ、急遽ココアとの決闘が始まる。今更だがココアが真面目に戦うところなんてあまり見ないので、どう戦おうか悩む。まぁいつも通り遠くからちまちまするか・・・。
「お前ら本気勝負な!」
「はいはい」
「勝っちゃうよ~!」
なまけものに返事した直後決闘がスタート。同時にココアは『巨大化』を使って大きくなり、一気に体・・・手と表現した方がいいかな、それを伸ばしてきた。直線攻撃なので左に動いて軽く躱す。
「甘いよ~」
しかし避けたはずの手は、直角に曲がって追尾してきた。自在なので驚きはしない。慌てずに『霧散』を使って上空へと転移。
「あ~!? 何それ~!?」
「あっ、そういえばスキルの事まだ言ってなかった」
「私も聞いてないわよー」
「おまえもポンタが進化したことすらしらなかったんだから当然だろ・・・おっと、待て待て! 文句はポンタに言えって!」
「ポンタ。後でちょっと話しましょ!」
「え~・・・」
嫌な予感しかしない。逃げよう。
次回更新は3日後の予定です