472.【海難】と再戦してみた⑥
「「「来た!」」」
ボウルに入った【海難】はまな板の上の鯉だ。後はなまけものの『サンダー』終わり。今までの状況から『水化』中はガードできないし、渦のドームも今まで出てない。つまりガードされることはない。
それに気付いているのか、ボウルに溜まった【海難】も何処か焦りがあるように見える。
「折角だし冷やしとこー」
「確実に倒すために『カースフィールド』でも使っとこ」
「あ、私も」
「鬼畜だね~。あ、私もしとこっと」
「ココアもじゃない!」
最小範囲ならSGも許容範囲だ。なまけものの攻撃で確実に倒すために3人で『カースフィールド』を展開。これで【海難】の防御力は15%ダウンだ。僕らの防御力も同じ状態だが攻撃されないのなら問題ない。
さぁ準備は出来た。今か今かとなまけものの攻撃を待つ。
そんな僕にユウさんが、
「思ったんだけど・・・。なまけに私たちの作戦・・・言ってないわよね?」
「・・・言ってないね」
「なまけなら分かってくれる~」
確かになまけものならこういう時、直感で対応してくれる。ココアの言う通りだ。
そんな期待を胸に、全員でなまけものを見た。
「?」
だが見た先には首を傾げ、僕らの動きにどうしていいかわからない毛むくじゃらの姿しかなかった。
「あ、駄目だ・・・」
「駄目ね」
「逃げろ~!」
凍りきる前に【海難】が動き出したため慌てて撤退。しかし逃げ切る前に天高い波が周りを囲った。『タイダルウェイブスコール』だ。
さっきは咄嗟に使ったけど、すぐに落ちてこないのは分かっている。上を見て逃げれる場所を確認し、
「!? ユウさん! 飛んであの隙間から逃げれる!? 僕の上昇だけでは間に合わない」
上昇するスピードだとユウさんの跳躍の方が早い。『飛翔脚』もあるからあそこまでなら跳べるだろう。
「いけるけど『蜃気楼』は!?」
「SG・・・微妙に足りない」
「何してるのっ!」
因みにSGの件は嘘だ。ちゃんと1回発動できる分は残してある。だが少し気になることがあるので使いたくないのだ。しかしその気になることをするには潜る必要があるが、そのためにはユウさんに離脱してもらわないといけない。
『蜃気楼』自体はユウさんも持っているが、SGの使用状況から足りないのは分かっている。
「それは後っ! 急いで!」
「ポンタは!?」
「一か八か潜ってやり過ごしてみる。定期的に回復すれば多分いける」
「あたしは~?」
「お好きな方にどうぞ」
言ったら僕は見捨てられた。まぁ確定で助かる方にいくよね。
「急げ」と言う僕の言葉でユウさんとココアが離脱。無事隙間から抜けていった。陸のある所まで『飛翔脚』が続くかはわからないけど、ココアも居るし何とかするだろう。
「さて、こっちは攻めさせてもらうとしますか」
離脱を見届け、僕は逆に海へと突っ込む。『破砕突き』の推進力があると海中でもどんどん進める。
さっきは一か八かといったが、あの攻撃は潜れば問題ない。実際サーフィンでも大波回避する際は潜るので、回避行動としては間違ってはいない筈。
確かになまけものが言うように運要素はあるだろうが、それはあの波が落ちてくる瞬間の衝撃がどうなるか未知数だからだ。
しかしそれも問題ない。ダメージのない深さは分かっている。
だって目の前に攻撃している張本人がいるんだからね。
次回更新は3日後の予定です。