471. 【海難】と再戦してみた⑤
なまけもの :いい加減助けてくれぇ!
「「「あ・・・」」」
『生成』でボウルを作っている間に【海難】はなまけものを追って遠くに行ってしまっていた。今は陸に居るなまけものへ『ウェイブスピア』と『タイダルウェイブ』を交互に放って追いつめている。なまけものはバフと『飛翔脚』を駆使して何とか避けている。
ココア :大丈夫。なまけは死んでも問題ないから
なまけもの :お前後で覚えとけよ!
即チャットに返してくるってことはまだ余裕ありそうだな。
助けに行くのはやめて、なまけものへと注意が向いている【海難】へ攻撃することにしよう。
「じゃあさっき言った通りに」
「分かったわ」
「はいはーい」
ココアが若干心配だが、何とかなると信じて【海難】へと突っ込む。当然勘付かれ、鬱陶しくこちらを向いた。
だが距離的に『ウェイブスピア』が飛んできてもギリ躱せる。そう思って突撃したのだが、
『『ウェイブブレイク』ぅ』
「!?」
「ポンタっ!」
「攻撃される前に突っ込む!」
しかし行く手を阻むように海面が爆ぜ、襲いかかる。突っ込もうと速度を上げているためよけきれない。
「しまっ!? 『蜃きーー」
「『生成』~!」
咄嗟に『蜃気楼』を発動しようとしたが、ココアが目の前に板を出してくれた。その意図を読み、自重で落ちていく板に片足を当てた。触れさえすれば『縮地』が使える。
「『縮地』」
『! 避けたかぁ・・・』
何とか『ウェイブブレイク』は回避したものの、【海難】は移動後の僕をしっかりと見据え、休む間も与えまいと、離れた僕らに『ウェイブスピア』を放ってきた。
それを回避しつつ、一旦落ち着く。ちょっと焦ったようだ。回避はできただろうけど、ココアの機転で『蜃気楼』を使わずに済んだのはSG的に助かった。
「危なかった・・・」
「だから言ったでしょ!」
「ココアのおかげだね」
「ふふ~ん! 褒めていいよ!」
「あとでね。それよりもクールタイム終わったらもう一回お願いできる?」
「はいはーい」
「私は?」
「今度は『縮地』で攻めるから、攻撃準備しておいて」
「・・・分かったわ」
何故か若干納得いっていない様子のユウさん。見せ場が欲しいのだろうか? まぁ実際【海難】の戦闘ではあまり居る意味がな・・・失礼、少ししか貢献できてないからね。
・・・人のこと言えないけど。あ、『縮地』もう使えるね。
「ココア」
「任せて。えい!」
さっきと同じ板が目の前に出てくる。それに触れ、飛んでくる『ウェイブスピア』の隙間を狙うように『縮地』で距離を詰める。そのまま『破砕突き』を一瞬対処が遅れた【海難】へと繰り出す。
当てたと思ったが当然のように杖で防がれる。
『無駄だぁ・・・』
「だよね。ココア!」
「終わったよ!」
海に浮く【海難】と海面の間に大きなボウルが既に設置されている。僕が攻撃したと同時設置したらしい。
「ユウさーー」
「任せて!」
いうと同時に首を刎ね飛ばばすユウさん。こちらも同時に動いていたらしい。
だが首を刎ね飛ばされても【海難】にダメージはない。予定通りだ。
『『水化』ぁ』
そう言いつつ、水となる【海難】。水と化す前にニヤリと意味深に笑うが、こちらも同じ顔をしていただろう。
「いいのか? そこで」
『!?』
流石に咄嗟のことで足元は見てなかったな。
僕らの目の前で水となった【海難】がボウルへと注がれた。
次回更新は3日後の予定です