470.【海難】と再戦してみた④
「出てきた?」
「まだ。何処にもいないわ」
ユウさんと合流。波はまだ荒れており、【海難】は姿を現していないらしい。しかし戦闘は継続しているので【海難】が逃げたわけではない。
だが流石にこの状態で海上へと出るのは少し危険なので一旦様子見だ。
「あ。なまけ無事だったんだぁ〜」
「ポンタのおかげでな。と言うかテメェが俺を踏み台にしなかったら落ちることもなかったんだがなっ!」
「戦闘中よ。そういうのは後にして。後なまけ、そこに火起こしておいたからすぐ乾かす。時間ないから飛び込んで」
「・・・キャンプファイヤー並みのでけぇ火なんだが?」
「一瞬で乾くでしょ?」
「乾くどころか丸焦げじゃ!」
と言いつつも飛び込んでいくなまけもの。数秒後にパンチパーマを全身に当てたような状態で出てきた。僕を見てフッと鼻で笑うと、無駄なポーズをとる。
「すまんな。イケメンになってしまったぜ!」
「「ポンタの方がかっこいい」」
「何っどへぇ!?」
間髪入れずそう言われて崩れ落ちるなまけもの。あまりにもつまらなかったのか、【海難】に『ウェイブスピア』で突っ込まれる始末。
なまけものはダメージよりもまた濡れた自身の毛にショックを受ける。
「あー!? せっかく乾かしたのに!」
「どうでもいいでしょ! それより出たわね、ポンタ行くわよ」
「了解」
【海難】はまだ見えないが、攻撃された方向から予測は付く。ユウさんを乗せて飛び上がると海に赤い点・・・【海難】を見つけた。
今はなまけものに攻撃する予定のようでこちらは見ていない。だが・・・
「攻めてもダメ・・・よね?」
「多分さっきと同じ目に合うだけだと思う。もう一回は『蜃気楼』で回避できるけど、回避したら後がない。せめて『水化』を防げたら攻撃通るんだけどね・・・」
「『水化』のタイミングでなまけに攻撃してもらう?」
「そっちの方が確実ではあるけど・・・。タイミングが難しい。海と一体化されると『サンダー』が分散してダメージがほとんど入らないし、『水化』から海に落ちるまでの間に当てないとダメになる」
「じゃあ受け皿でも用意しておいたらいいの~?」
「受け皿? まぁそれあれば混ざらないしいいかもね。・・・てか、なんでいるの?」
しれっと乗ってきているココアは、「ふふん!」と鼻を鳴らした。
「こっちの方が安全そうだから! あ、二人の邪魔はしないから安心して」
「フォローしてくれるならどこに居てもいいけど・・・、すでに冷たさで気が散ってる・・・」
「それよりさっきの受け皿だけど・・・、『生成』で出すつもり?」
「そだよっ。大きいのだとちょっと時間かかるけど、【海難】を受け止めるだけの大きさならならすぐ出せるよ」
そういってココアが目の前に何かを出す。僕が乗れる程の大きさのお皿だ。即出ししたが大きさ的には十分だ。
「もっとボウルのような形にならない?」
「できるよっ!」
サッカーボールが出てきた。
「ボールじゃなくてボウル。料理の時に使うアレよ」
「ほら、混ぜる時とかに使うーー」
「混ぜるやつ? あっ! アレだねっ」
泡だて器が出てきた。たしかに混ぜる時に使うやつだけどそっちじゃない。
「これ、こんな形のっ!」
「あっ!」
ユウさんが手で形を作ってようやく理解してもらえた。
次回更新は3日後の予定です。