465.【海難】と戦ってみた⑥
『『ウェイブブレイク』ぅ』
「まずいわポンタ! アレくる!」
「やばっ! 近付き過ぎた!?」
全速力で海面から離れる。直後すぐそばで海面が爆ぜて大きな水柱ができる。この『ウェイブブレイク』、海面での爆発なので高く飛んでる分には問題ないが、海面近くを飛んでるとほぼ回避できない。それほど爆破範囲がデカいのだ。
ただ発動までの時間が少しあるので、魔法の発動、もしくは海中をを確認し、すぐに回避に移れば何とか回避できる。今回はユウさんが早く気付いたので何とかギリギリで躱せた。
が、高く打ち上げられた水が雨のようにかかる。
「・・・濡れたわ」
「いけそう?」
「大丈夫。体重いし戦うのは無理そうだけど」
相変わらず渦のドームに苦戦中。
切れるタイミングを見計らって攻撃するも、本体がガード、もしくは回避して当たらない。ただそれでも攻撃を防ぐタイミングで一旦攻撃がやむので無駄ではない。
あと一手があれば確実にダメージが入るのだが・・・
「なまけはココアが仕掛けるまで動く気なさそうだし、ココアは・・・どうしてるんだろう?」
「もう時間過ぎてるわよね?」
「過ぎてる。死んではいないようだけど」
酸素量的にそろそろ限界だと思うのだが、ココアは一向に姿を現さない。チャットでは「順調~」と言っていたのだが・・・。本当か?
その時ユウさんが「まさか・・・」と声を上げる。そして何かを確認した動作の直後、天を仰いだ。
「どうしたの? 嫌な予感しかしないけど」
「ココア・・・、流されてるわ」
「・・・・・」
ユウさんが確認したのはココアの位置だ。レーダーで見るとだいぶ先まで流されている。その方向に目を向けると、海面から白い何かが飛び出てた。
「あっ、あそこか」
「凍らせるのは上手くいってるみたいね」
「残念だけど連絡してもらえる?」
「分かったわ」
ユウさんがチャットを送る。直後それを見たなまけものも天を仰ぐのが見えた。
そして・・・、
なまけもの :仕切り直し! 撤退!!
一旦逃げることになった。
逃がしては貰えなかったが。
・・・
・・・・
・・・・・
復活したオアシスで待っていると、最後にやられたココアと合流。
彼女は僕らの顔を見るなり、
「途中までうまくいってたんだよ~。でも急に押される力が強くなって流されたんだよねぇ~」
「言えよっ! その時点で!」
「氷の表面積が増えたから波に逆らいきれなかったようね・・・」
「考えてみたらそうだね。というか流されるってこと忘れてた」
「それは俺もだな。海なんてそうそう潜らねぇしなぁ」
「あたしはやる前から流されるって分かってたよ!」
「「「言えよっ!」」」
なまけものが天を仰ぐ。
「すまんお前ら。ココアに期待した俺がバカだったわ」
「ほんとそれ」
「作戦が杜撰すぎるのよ。ココアのこと一番よく知ってるでしょ?」
「そうだよなまけ、いつもあたしの何見てたの?」
「・・・横暴なところか? って!? いてぇ!! つつくんじゃねぇ!!」
いつもの鳥の氷姿に戻ったココアにつつかれるなまけもの。いつも通りなので放っておく。
「んじゃこっちで作戦練りますか。いろいろ分かったし」
「そうね。あ、その前にちょっと休憩してきていい?」
アイス時間かな? 断る理由は無いのでOKしておく。
「じゃあ僕も少し休憩しようかな? 集合時間はこの辺でいい?」
「OKよ。じゃ、また」
「また」
ユウさんのログアウトを確認し、僕もログアウトする。
「その前に俺を助けてくれねぇか? なぁ?」
なまけものがそんなことを言ったらしいが、当然聞こえはしない。
次回更新は3日後の予定です