461.【海難】と戦ってみた②
『そうか・・・、貴様ら、私の体を・・・、儀式場を荒らしたな!!』
吠えた【海難】を中心に、一気に海が荒れだす。同時に【海難】がオーラを纏う。慌てて距離をとる。
「ねぇちょっと! なんで? 強化されてない?」
「いや、待って!」
しかし荒れたのは一瞬。多少波がさっきよりも強くなったが、海は元に戻り、【海難】のオーラも消えた。
『ぐふぅ!?』
そして【海難】が血を少し吹き出すと同時にその場でふらつく。見えない何かにダメージを負ったのか、同時にHPが半分ほど減った。
「何? 何なの?」
「どうやら通常だと、ダメージ与えるなりすると怒ってさっきみたいな状態になるみたいだね。でもあれは儀式によるパワーアップで得た効果なんだと思う」
「成程ね。それを無効化したからすぐ収まったのね。でもHPも減ったわよ?」
「HPも増えてたんじゃないかな? 魔法威力から見て全体的にステータス上がってそうだし」
「増えた分が減ったってこと?」
「多分ね」
あくまで推測だ。もしかしたら、手順を踏んだボーナスダメージかもしれない。どちらにせよHPが減ってくれるのはありがたい。
『・・・くっ、力が抜ける・・・。お前たち、許さんぞ!』
推測している間に【海難】が態勢を立て直す。よく考えれば普通にチャンスだった。攻撃しておけばよかった。
まぁ下手に近づいて反撃されても嫌だし、当初の方針通り動こう。
「じゃあ誘導するよ。なまけ達への連絡お願い」
「分かったわ!」
ドドドドドッ!
海水の大きな槍が大量に飛んでくる。恐らく『ウェイブスピア』だろう。距離をとっていたので避けるのは難しくない。
魔法の大きさは前と変わっていないようだ。そして放たれる量も相変わらずおかしい。多分威力も減っていると思うが、わざわざ確認のために当たるのはあほらしい。
前は3〜4割ほど持っていってたので、2割ほどまで下がってるありがたいんだけどね・・・。
『ウェイブスピア』は【海難】の周囲から放たれているので、【海難】を中心に旋回して躱す。
このまま旋回半径を広げて距離を取りつつなまけものの方へと誘導する。しかし【海難】は移動速度が遅い。思った以上に追ってきてくれない。
その上、
「ポンタっ! 前っ! 前っ!!」
「うげっ!?」
『『タイダルウェイブ』ぅ』
ちょっと離れすぎると、行き先を塞ぐように使ってくる『タイダルウェイブ』が邪魔だ。これは確実に避けないと一度でも受ければユウさんがお陀仏になる。直角に曲がって回避する。
「ああもうっ! 全然なまけの方へ来ないじゃない!」
「ちょっと距離取ろうか。ワープしてきてくれるかも」
言いつつも、「コイツワープするのかな?」と疑問はある。遺跡で戦った【海難】は『水化』によって水の中を移動しただけで、ワープしているように見えていたが実際はそうではない。
ただ同じ移動方法で寄ってくることはできると思うので、それにかけてみる。
『『ーーー』』
一気に距離を離しだすと、数秒後に【海難】が消えた。一瞬逃げたのかと思ったけど、戦闘状態は続いている。恐らく予想通りの行動にでたと考えたほうがよさそうだ。
「消えたわ!」
「多分『水化』で海と同化してる。後の海面見張っといて、攻撃あるかもだから」
「了解よ。でも広すぎて視界に入りきらない。見つけるの遅れるかもしれないから、もうちょっと海面から距離取れる?」
「了解」
ユウさんに後ろを見張って貰いつつ、言われた通り上昇。【海難】はまだしかけても来ず、姿も見せない。しん・・・とした静けさの中、いつ来るか身構える僕らをピリピリした雰囲気が包む。
なまけもの :なあ【海難】消えたぞ? 何してんだ?
「「!? ・・・ああもうっ!」」
突然のチャットに2人してビクッとする。直後、それを知ってたかのように【海難】の攻撃が僕らを襲った。
次回更新は3日後の予定です




