45・野営地を攻めてみた⑤
数分待っていると、なまけものがこっちに向かってくるのが視界に映る。事前にチャットで戦闘が終わったことは伝えてあるので、なまけものに慌てた様子はない。
しかし合流した後はドラッグの経験値が貰えなかったことに落胆していた。まぁ死んだ原因は、操作ミスで至近距離に『ファイアボール』を打ち込んでしまい、爆風に巻き込まれたためらしいので、まぁ自業自得という事にしておいた。
その後は、周囲に残っている野営地を片っ端から攻める。さっきの場所で何とかなることが分かったし、経験値的にもおいしい。冒険者を探す手間が無い分楽にレベルが上がる。
「なぁ? なんで俺囮ばかりなんだ? 別にいいけどよ」
「その方が速いから。良いじゃん『硬質』使うだけなんだからさ」
「いいけどさ・・・。突っ立ってるだけだし暇なんだが?」
「普段あたしずっとその状態なのよ。たまには代わってよ」
明らかに退屈ですと言わんばかりのトーンでなまけものが話す。
まぁ、もうちょっとしたら朝になるから。
「ほら次の野営地に『ファイアボール』撃って。ポンタ、私たちは隠れるわよ」
「分かった。じゃ、よろしく」
そう言って僕とユウさんは、なまけものに襲い掛かってくる冒険者に奇襲するため草むらに身を隠す。
隠れた後、すぐ近くの野営地が『ファイアボール』で燃え上がった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「そろそろ晩飯か。一旦終わるか・・・」
「あ、僕今日これで終わるし、晩御飯の後はパス」
「あ? なんかあるのか?」
「無いけど明日から配属だろ? 初っ端からやらかしたくないし今日は止めとく。準備もしないといけないし」
また夜遅くまでやって、配属初日から遅刻とかは嫌だ。
研修中なら指導員に怒られるだけで済むけど、配属先でやると上司の印象が悪くなる。それだけは避けておきたい。
「そうね。なら私もパスするわ。今日は朝からやってるし疲れたわ」
「ユウもかよ・・・ココアは?」
「まだやる」
「よっしゃ。なら2人でやろうぜ。はっは、今のうちにレベル引き離してやるぜ」
程々にな。明日寝坊しても知らんぞ。
ココアもな。
「ううん、あたしはレベル上げじゃなくてちょっとここで遊ぶだけ。レベル上げはなまけもの1人でやってね」
「マジかよ・・・」
もう今日はお前もやめとけ・・・。