457.【海難】の元へと向かってみた
「あのやろ~・・・。絶対倒す。よくも俺の船を!」
復活し、失ったなまけものの船の代わりにココアの船で【海難】の元へと向かう。
「よそ見してるほうが悪いでしょ」
「だよねぇ」
「元はといえばお前が戦い続けるからだろー!」
「はぁ・・・、あれだけ苦労して手にれたのに・・・。壊れるの一瞬だったね」
壊れたのはあの執事たちと戦って奪った船だ。ついでに言うとなまけものに奪われた船でもある。
「あっ! そういえばそうじゃない! ちょっと!! あれ手に入れるの苦労したのよっ!」
「んなこと言われてもよ・・・」
「【海難】の攻撃食らえばつぶれるのは分かるけど、全体的に船の耐久値が低いよね」
「それな!」
まぁそもそも船って壊れやすいものだしね。木造だし。他のゲームとかだと不自然な強靭さでなかなか壊れないけどさ・・・。
「それよりも僕的には、なんで急に【海難】が出てきたかの方が気になるね。移動してきたと言われたらそうなんだろうけど、急に近寄って来すぎな気がする」
「そうか? そういや、前の時も戦闘してる最中にすぐ傍に来てたな・・・」
たまたま僕らのいる方に寄ってきた可能性は大いにあるが、それにしたって見つけた場所からは少し離れた場所だった。僕が見つけた後、すぐに移動して寄ってこない限りありえない気がするんだが・・・。
「実はポンタが見つかってて追ってきたんじゃないの?」
「え~・・・、そんなヘマしたつもりないんだけどなぁ・・・」
「じゃあ居る近くで戦闘したら寄って来るってこと?」
「その可能性はあると思うけど・・・。何とも言えない」
少なくとも離れる時に振り向いて確認したけど追っては来てなかった・・・筈。なので何かをトリガーに近寄ってくる、もしくはその場に現れるんじゃないかと思うのだが・・・。
そんなことをあーだ、こーだと言っていると、なまけものが「別にどうでもいいじゃん」と遮った。
「逆に考えたらさ、何かすりゃ【海難】が寄って来るかもしれないってことだろ?」
「・・・まぁそうなるね」
「なら試そうぜ。丁度いい所にいい人たちが居るしよ」
「ん?」
なまけものがニヤリと笑って前の方を指さす。その方向へ顔を向けると一隻の船が走っていた。乗っている人は・・・あ、さっきの人たちだ。
「さっきはあっちから攻めてきたんだ。攻め返しても文句ねぇよな?」
つまり・・・、彼らをもう一回攻撃するということか? 呼ぶために?
当然戦闘になるし、死なずに終わらせるには彼らにもう一回死んでもらう必要がある。
「「最低・・・」」
「うっせぇ! この世界は弱肉強食なんだよっ! 行けっ、ココア!」
「はいはーい」
ココアが船を彼らへと向けて進める。今更なまけものに言っても聞かなさそうなので戦闘準備をする。
「あ、ユウさん。乗るなら早めに乗っておいて」
「? いいけど・・・なんで?」
「ココアが自分の船を戦闘場にする訳がない」
「あ・・・そうね」
十中八九、戦闘する前後で連絡もなく消すだろう。もしそうなったらびっくりして海に落ちるだけだが、ユウさんはまずい。
「あ? どこ行くんだ?」
「先行して火あぶりしてくる」
彼らにはもう一隻失ってもらうが仕方ない。変に反撃されても困るからね。
「・・・お前の方が最低じゃねぇか・・・」
心外だ。
次回更新は3日後の予定です