450.いろいろ調べてみた
「おおぅ、ガチミイラだ・・・」
「からっからだねぇ」
「無駄に細部まで細かく出来てるね」
「確かに無駄だな」
一通り室内を調べ終わった後、中央に安置されている棺・・・ではなくその辺の棺を開けて中をチェック。
する気は無かったのだが、ココアが中央の棺を開けようとしたので慌ててこちらの方にして貰った。棺を開けると完全に水分が抜けて骨に皮膚が張り付いた人物が数体横たわっていた。まるで棺に無理やり詰め込んだような入れ方に彼らの身分を察する。
ココアが興味本位で揺すってみるが返事はない、やはりただの屍だった。
「ね、ねぇ・・・。まだ・・・?」
そんな僕らを遠くから見るユウさん。早くここから出たくなっているようで何かと急かしてくる。「もう少し」と言いたいが、別段見るものも他には無さそうなのでメインの棺へと移動する。
恐らく王が眠っているであろう棺は、大きな黄金の塊を削って作られているようで、きっらきらしてまぶしい。そしてその黄金の棺の側には何かを備えれるような台座があり、台上には丸いものを置くための窪みが作られていた。大きさは・・・、手に持っているスイカがピッタリなようだ。
「つまりここに置けということか。分かりやすくて助かるぜ」
そう言ってなまけものは持っていたスイカを置いて僕らに同じことをするよう促す。促されるままココア、僕、ユウさんの順に持っていたスイカを置いた。なまけものがまとめて置いてもよさそうだったが、それでなまけものだけが贄を捧げたとなっては困る為、あえて一人づつ置いてみた。
「「「「・・・・・」」」」
そして少し待つ、しかし何も起きなかった。
「駄目か?」
「かなぁ?」
「ちょっと待って、これ見て」
一旦スイカを回収する際、ユウさんが何かに気付いた。台座に何か書いてある。
触れると社でスキルを取得できる時と同じメニュー画面が表示された。
・呪い解除 ●
・ステータスUP ●●●●●
・スキル取得 ●●●●●
もし最初にピラミッドへ来ていれば、たぶんこの●に大分悩んだだろう。この●は恐らくスイカだ。それぞれを得るためにはここに記載されている数が必要なのだろう。そしてこれを見る限り・・・、呪いを解くのであれば1人1個で済むようだ。
「呪い解除だと計4個か・・・。丁度だね」
今持っているのは1人1個づつ、問題なく足りる。しかし一緒に見ていたなまけものはそう思っていないようで、「全部取得する場合は44個か・・・」、「何往復だ・・・」などとブツブツ言っている。
「まて・・・全部取る気か?」
「あ? 全部取るだろ普通」
「そりゃ他のゲームなら取るけどさ・・・。これだと面倒なんだよね」
44個もスイカ探すのも面倒だし、あの砂漠往復とピラミッド内部の移動も面倒だ。全部なまけものがやってくれるなら別だけど絶対しないだろう。
当然、ユウさんとココアも不満顔だ。
「取らないわよ。面倒じゃない」
「取りに行くのやだ~」
「ほら、今回は見送ろうさ」
「スキル要らねぇのか?」
「「要る」」
「決まりだな」
だが2人はスキルの前に意見を180度変えた。結果、多数決で往復が決定なのだが、ただ取りに行くとなると絶対酷使されるのは分かっている。なのでもうちょっと抵抗する。
「一応スキル確認してみない? 使えないスキルに時間かけるの無駄だしさ」
「む、一理あるな。でもスキル見れるか?」
「見れるわね。【カースフィールド】だって。効果は指定範囲内のステータスを5%下げる、のようね。能力下げるだけ? あんまりいらーー」
「「何だとぉ!?」」
範囲ステ5%デバフスキルとか人権スキルじゃないか。これは取るべきだろう。面倒くさいとか言ってる場合じゃない。
なまけものと顔を見合わせて頷き、僕はすぐさまスイカの回収へと動いた。
次回更新は3日後の予定です。