44・野営地を攻めてみた④
『ハァハァ・・・クソ!!』
何度かハンマーを振り回して疲れてきたのか、ドラッグの息が上がってきた。今の距離を保っているとハンマーを振るか叩きつけることしかしてこないので避けるのはかなり楽。
相手のスキも見えてきたので、危険かもしれないがこの辺で攻撃に移ってもいいかもしれない。
「狙いはスイング直後」
振った慣性でドラッグが少しよろける。何度か見てたが、このタイミングが1番スキがデカい。相手はよろけ中なので避けられることもないだろう。
と決まればスイングしてくるのを待つ。
しかし・・・
『ふん! ふん!』
「いい加減振ってこいよ!」
狙ったら全くスイングしなくなった。ずっと叩きつける攻撃ばかりで一向に振ってこない。それどころか、振りかぶりに緩急をつけて攻撃タイミングをずらし始めた。そんな変化は求めてない。
どうやら回避のしすぎの対処として、攻撃パターンが変わったようだ。
『ハァハァ・・・チッ! まだ当たらねぇか!!』
「いいから振ってこいよ!」
と、ようやく願いが通じたのか、ドラッグは大きく振りかぶった。あの構えはスイングで間違いないので地面に伏せる。
『おぉりゃぁあああ!!』
いつも以上に力を込めたのか、大きな声とともにハンマーが空を切る。頭上をハンマーが通過したのを確認し、急いで頭を持ち上げて攻撃しーー
『ああああああ!!』
たかったが、2周目が来た。慌てて持ち上げた頭を下げて回避。しかしドラッグはもう一周して、回転の反動を利用し叩きつけてきた。
「っぶね!」
叩きつける前にその場から跳び退く。いつもより強い叩きつけで地面にクレーターが出来た。
とうとうスイングと叩きつけの混合技まで使ってきやがった。
だが2周も回ったせいか、少しふらついており叩きつけたハンマーもまだ持ち上げられないようだ。すかさず『溶解液』を撃ち出す。
『ぐぅおおお!!』
狙いもつけず撃った『溶解液』はドラッグの右足に着弾し、周囲もろとも溶かす。ドラッグの右足は足首から下が溶けて消えてしまう。ドラッグはバランスを崩してその場に倒れ込んだ。
これ以上動かれても困るので、左足にも『溶解液』を打ち込む。後は両手と武器にも『溶解液』をかけて使えなくする。
「ふぅ〜・・。これで動けんだろ・・・」
『一思いにやれや!! ちまちま体溶かされるこっちの身にもなれぇ!!』
いやいや、念のためだから。
地面に大の字で寝転がるドラッグにそろりそろりと近付き、『猛毒牙』で止めを刺す。
消える前にドラッグがこっちを見て嫌な顔をする。
『ぐっ・・毒にまでするのかよ、嫌な奴だぜ。だがやっぱり強かったな、もう2度と戦わねぇわ』
そう言ってドラッグは消えてった。僕も1人では2度とやりたくない。躱し続けるのも疲れるし、今度やるときはみんな集めとくよ。
「お疲れ様。結構強そうなのと戦ってたわね」
「強かったよ。攻撃が大振りだったから何とかなった」
「レベルいっぱい上がったね。もう15だよ」
「あ、僕も 15だ。3も上がったのか」
「私も15」
「なまけものは?・・・あれ?」
そういえばなまけものが居ない。
「なまけものは倒されたわ。今全力でこっちに移動中だって」
「あ、そう」
てことはドラッグの経験値はなまけものだけ無しか。