448.ピラミッド内部に入ってみた①
「やだよ~!!」
「お前が負けたのだからしょうがないだろ・・・」
「なまけ代わってよ!」
「やだよ。だからジャンケンしたんだろ」
入口の前でココアが騒いで抵抗。それをなまけものが無理やり押し込もうとする。傍から見れば絵面的にはアウトだろう。
「往生際が悪いぞ! 負けたんだから行けっ! ほらっ」
「パワハラ!」
「違うわっ! 適当言う、てめっ、攻撃すんな」
いい加減さっさと行って欲しい。ユウさんも同感のようで大きくため息を吐いた。
「埒が明かないわね・・・。もう2人そろっていきなさいよ」
「俺ジャンケン勝ったのに!?」
「あ、そうすればいいんだ! ほらなまけ行くよっ!」
「やだよ、俺勝ったんだ・・・ぞ」
嫌がるなまけものだったが、ココアが耳元でボソッと呟くと少し考えてニヤリと笑った。また馬鹿なことやる気だな。
これにはユウさんもジト目でなまけものを見ている。
「はぁ~あ、しょうがねぇな。今回だけだぞ?」
「わぁ! ありがと~!」
そしてニヤリとしたなまけものは嘘くさい演技で了承した。そして嘘くさいお礼を言うココア。
2人はニヤつきながら一緒に中へと入っていく。
「んじゃ先行くわ。罠とか見つけたらチャットでいいか?」
「ああ、うん。それでいいよ」
「ちゃんと確認してよ?」
「OK、OK任せとけ。行くぜココア!」
「はいは~い」
さっきの揉め事がウソのような仲の良さで暗闇に消えていく2人。完全に見えなくなったのを確認し、大きくため息を吐いた。
「さて、何してくるんだろうか・・・」
「どうせ隠れて驚かせようとかそんなところじゃないかしら?」
「はは・・・、ありそう」
直感だが恐らく罠は無いと思う。理由としては隠しダンジョンでも何でもないからだ。ただ構造物に入るだけだし。まぁ100%とは言い切れないけど。
数分後の予想は的中し、なまけものから「問題ない」とチャットが飛んで来た。「了解」と返してユウさんを乗せる。
「ユウさんや、いたずらの準備が出来たようですがゆっくり行きますか?」
「とばして行って。蹴散らすわよ」
「了解」
「中暗いから気を付けてね」
「分かってるよ」
こっちも2人でにやりと笑う。まさか向こうは僕らが突っ込んでくるとは思うまい。僕らにとって無意味な企みはぶち壊すのみ!
そして僕はその場で少し浮き、一気に穴の中へと入っていった・・・。
そして、
「着いたわね・・・」
「着いたね」
2人に遭うことなく行き止まりまで来てしまった、一本道だった筈だが・・・。
目の前に扉があるが、先に行ったのだろうか? しかしこの扉・・・
「ねぇ見て! あのマーク!」
「うん。呪いで右目周りについたマークと同じだね」
ユウさんが指差す先、扉の中心に呪われた時についたマークと同じマークがあった。つまり呪いを解くための場所はここであっているようだ。
「なまけ達は先に行ったの?」
「どうだろ・・・」
レーダーで見る限りピラミッドの内部にいるのは分かるのだが、ここまでの道中、何度も曲がりや上下移動があったのでなまけもの達が先に進んだのかそうでないのかが判断出来ない。
とりあえずチャットで状況を報告しておくか。
ポンタ :扉見つけたから入っとくよ。というか今どこ?
なまけもの :なん・・・だと!? おい、いつ通った!
ココア :そうだよ! 折角準備してたのに!
「「・・・・・」」
ユウさんと顔を見合わせ・・・、チャットは無視することにした。
次回更新は3日後の予定です。