444.目的地についてみた
「ひどい目に遭ったぜ・・・」
「まぁなまけが100%悪いんだけどね。折角のユウさんの好意をいじるから」
「お前がだろっ!」
「どっちもよっ!!」
日が傾き始めた砂漠を延々と移動する。僕が低空飛行で飛び、ユウさんは僕の尻尾を掴みながら定期的に『飛翔脚』を使って跳ぶ。傍から見れば空中を跳ねるユウさんを僕が牽引しているように見えるだろう。
ただ『飛翔脚』は連続使用でSG消費が増えるので、定期的に着地してリセットしながらの移動となり、サクサクとは進めなかった。
「わぷっ! やだ口に入ったわ! ああもう・・・砂漠嫌いになりそう・・・」
「俺は足踏み入れた時から嫌いだがな。みろよこの砂まみれの姿をよ」
「ホコリだらけのモップみたい」
最初こそ砂漠の環境を楽しんではいたものの、砂漠の暑さ、移動のし辛さ、そして時折吹く砂だらけの風が2人のテンションを下げていく。それにより会話も徐々に減り、何時しか全員が無言でただただ移動するだけの時間が過ぎる。
気まずいなあと思いながら移動していると面白いものを見つけた。
「そういえばさ」
「・・・あ?」
「・・・何?」
返事のテンション低いな・・・
「砂漠って流砂あるんだよね?」
「・・・ああ、そういやそんなのあったな・・・」
「あったわね・・・。それがどうかしたの?」
興味なさすぎだろ・・・。いつもなら変化に直ぐ飛びつくのに。
「いや、見つけたんだけどどうしようか?」
正確に言うと、見つけたのは他のプレイヤー。全員が地面を見ていたので何かと思えば砂漠がへこんでいたのだ。プレイヤー達はその流砂へと順番に飛び込んでいる。何かあるのは間違いなさそうだ。
しかしそのことをを伝えるが・・・2人は首を振った。
「多分隠しダンジョンだろうが・・・、今はやめとこうぜ」
「そうね。やることやってからにしましょ」
興味を示してくれるかと思ったのだが駄目だったようだ。とりあえずマップ上にマークをしておき、本来の目的地へと向かった。
それから数分。周囲が暗くなったころに目的地へと到着した。
「さっぶっ!!」
「そう?」
「私は普通かな。ちょっと肌寒い感じはするけど」
「快適~」
日が落ちるや否や、気温が一気に下がる。まるで夏から冬へと切り替わったかのような感じだ。おかげでココアが無事復活。しかしなまけものは駄目だったようだ。
「何の為の毛なの? それ」
「知らん。俺が聞きたい! というかユウ、その体で暖取らせてくれ」
「嫌よ。寄らないで」
「あたしで暖取る~?」
「死ぬわ。凍死させる気・・つめたぁ!!」
ココアがいつも通りなまけものに乗ると、なまけものは大きなリアクションをして転げまわる。そしてそれを面白がるココアは更なる追撃を行う。そしてなまけものの悲鳴。
「・・・周りに迷惑かけないようにね」
聞こえてないだろうがとりあえず注意しておき、放っておく。当分時間がかかりそうなので、先に用事を済ませよう。
次回更新は3日後の予定です




