441.呪われてみた
気がつくと最後に寄ったオアシスに居た。強制転移されたということは死んだのだろうか?
なまけもの :おーい返事しろー! いつまで待たせんだ!?
しかしその疑問を消すかのようになまけものからチャットが飛んでくる。内容からして結構待たせているようだ。時間的にはそれほど経っていないかった筈だが、意識が無かった時間が長かったのだろうか?
考えてもしょうがないので、急いでなまけもの達のところへ向かう。
レーダーを頼りに移動することすること十数分、ようやくなまけもの達と合流した。
「ごめん、遅れた」
「ホント何してたんだ・・・よ・・・。いや・・・何した?」
「?」
強い口調で言い始めたなまけものが、僕を見るなりトーンを落とす。「遅いんだよ!」、「いやいや実はさ・・・」、「いや呼べよ俺らをよぉ!」という感じで話が進むと予想していたので戸惑う。
首をかしげてると、ユウさんが首の一つを掴んで自身の目の前に持ってくる。そして間近でじっと見てきた。あまりに近いところで見てくるので恥ずかしくて目を逸らす。
「あの・・・そうじっと見られると・・・」
「その目、どうしたの?」
「目?」
ユウさんが大真面目な顔で聞いてくる。どうなってるのか自身では分からないので、左右の首で自分の顔を見た。
すると左右の目の白目のところが黒く変色しており、瞳孔のところが逆に白くなっている。そしてそれだけでなく、右目を包むように変な赤黒い痣が付いていた。何かの骸骨のような見た目と色合いから良くないものだとはすぐにわかった。
「えっ!? 何これ!?」
「それを聞いてるのだけど・・・。ポンタも知らないの?」
「知らない。今知った」
「いや、お前は何か知っている筈だ。俺は分かるぞ、この遅れてきた間に絶対何かやらかしてきただろ」
そう言われて、気を失ったときのことを思い出す。そういや呪いが何たらかんたら言ってた気が・・・。
順番に思い出しながらぶつぶつ言っていると、なまけものが「それみろ!」と僕を指差した。
「ほらやっぱりまた何かしたなっ!?」
「順を追って説明してくれる?」
「うい・・・」
2人から詰め寄られ、黄金船を見つけたあたりから話始める。
「おい待て、そういうのは見つけた時に呼べよっ!」
「なまけ煩い。先に最後まで聞いてからよ」
「まぁそんな長くないんだけど・・・。見つけたから乗ったんだ。でも誰も居なくて・・・色々見てると船倉に何かあって・・・近付いたら気を失ってオアシスに戻されてた」
「で、そうなってたと?」
「うん。戻された後は起きてすぐ一直線にこっちへ来たし」
「そう・・・」
「話から察するにその気を失ったときに呪われたのかもな」
「あ、やっぱり呪われてる?」
「ああ、ステータス見りゃすぐ分かるぞ。ご丁寧にいろいろ書かれるわ」
なまけものに言われて自身のステータスを確認してみる。
名前:ポンタ(呪い)
種族:ズメイ(6)
特殊スキル:猛毒弾 火炎 溶解液++ 猛毒体 スケイルショット+ 強再生 縮地 蜃気楼 破砕突き 呪い憑き
呪い憑き :パッシブスキル。解除不可。SGは使用しない。生気を取られ全ステータスが5%減少し、触れたものに呪いを伝染させる。解除するには王の墓にある王の間で贄を捧げる必要がある。
名前の横にしっかり呪いと書かれ、しれっと『呪い憑き』というのデバフスキルが手に入っている。しかも全ステータスダウン・・・。おかしすぎません?
「・・・なるほどね。通り(道理)で・・・」
同じく僕のステータスを除いていたであろうユウさんがそう呟く。その右目には僕と同じ痣が浮かんでいた。
次回更新は3日後の予定です。