438.買い物
現実 回です
「とりあえずこれと、これと、それと・・・」
「全部戻してこい!」
榊がカゴに入れたインスタント各種を見て呆れる。節約したいと言うので一緒に買い物に来ているのだが、よくもまぁインスタントのみでカゴを山盛りにできるものだ。災害にでも備えるつもりか?
因みに柊さんは睡眠優先でパスした。
「え~! じゃあ何買うんだよ!」
「野菜とか、肉とか、魚とかかな? 自炊するんだろ? ならその材料をだな・・・」
「でもインスタントないと俺生きていけないんだが?」
「いや生きてけるでしょ・・・」
顔が真面目だから返答に困る。
最初はこんなことなかった気がするんだが、インスタントの手軽さに楽した結果、インスタントじゃないとダメになってしまったということか。
「待って。インスタントを使えば料理が手軽にできるからある程度はいいと思うわ。いきなり最初からはハードルが高いからまずはインスタントメインの料理から始めて徐々に慣れればいいのよ」
「さすが柳。分かってる~」
「でもそんなには要らないから半分くらい減らしなさいよ」
「・・・減らすの3分の1で勘弁してください」
柳さんが了承すると、なまけものはかなり精査しながら商品を棚へと戻し始める。傍から見ると親に怒られた子供に見えてしまうな。
「ちなみに榊はご飯とか炊くのか?」
「炊かない。炊飯器無いから無理だ」
「お鍋で出来るけど?」
「そんな高等技術は持ち合わせてねぇ」
高等技術て・・・。キャンプで飯盒するのと同じじゃん・・・。まぁ火加減は慣れるまで難しいかもしれないが。
「あ、そうなのか! なら出来る」
「じゃあお米ね」
そんなこんなで榊の買い物を手伝う。インスタント商品が圧迫したのもあるが、かご二つで何とか必要分が揃った。
「これだけ買ったのにいつもと金額ほとんど変わらねぇ!」
「安売りメインにしたからね。というか普段インスタント買いすぎだろ・・・。あれ? 柳さんはそれだけ?」
大量買いの榊に対し、柳さんはいつもより少なめだ。アイスクリームはいつも通りの量だが。
突っ込むと柳さんはびくっとした。
「ちょっと・・・ね」
視線を逸らす柳さん。何となく察しがついたが言わないでおく。
しかし察したら言いたがる男がここには居た。
「ははぁ・・・。さては太ったな!」
「!?」
「おっと、ここでは暴れるなよ。周りにめいわっ!?」
「お前が迷惑だっ」
脇腹を肘撃ちして黙らせる。意図してないがいいところに入ったのか榊は倒れはしなかったものの悶絶し痛みを堪える。
「お・・・、おい、竹てめっ・・・」
「すまん。ゲームのノリでやっちゃったわ」
勿論嘘だが。
しかし柳さんとうとうアイスの影響が出始めたのか・・・。見た感じそんな変わらないようだが・・・。
まじまじと見てると脳天にチョップされた。
次回更新は3日後の予定です。