436.小部屋に入ってみた
今までの遺跡と変わらない作りの通路が少し続き、小さな部屋へと出た。
円形の小さなその部屋は周囲に松明が等間隔で置かれ、壁も訳のわからない呪具のようなものは飾られ、床にはどこの国の文字だろうか、部屋の中心を中心として円形にびっしりと書かれている。天井に至っては骸骨が大量に吊られていた。
何が言いたいかって? 凄い不気味で気味が悪い。これ第三者視点だとさほど怖くないだろうに、自身の視点で見ると何でこんなに怖いのだろうか。
で、こういう部屋に限って素通り出来ない。僕は部屋の中央に供えられている供物を見てそれを確信した。
「骨だな・・・」
「骨だね」
「長さ的に指?」
「指・・・だな。多分」
オーバーな程丁寧に祀られたその指の骨をなまけものが取って眺める。呪いでもあるのかと思ったが特に問題はなさそうだ。なまけものは一通り確認するとユウさんに投げる。
「ほい」
「ちょっと! 投げないで戻しなさいよ」
と怒りつつキャッチするユウさん。しかし受け取ると直ぐに落ち着き「ふーん・・・あ、そゆこと」と何か納得した。
「どゆこと?」
「持ったら分かるわ。はい」
「そう? あ、ども」
ユウさんに渡され・・・持てないので前脚を曲げてそこに乗せてもらう。直後インフォメーションが表示される。
[【海難】が捧げた供物を手にしました。以降【海難】との戦闘時は儀式の強化は無効化されます]
「? どゆこと?」
「要は【海難】が弱体化するってことだろ」
「私的には攻撃が当たればいいんだけど・・・大丈夫よね?」
「さあな。まぁあれも『水化』だし。いけんじゃね?」
「もう嫌なんだけど・・・アレ」
ユウさんは大きなため息を吐きつつ、僕に渡した骨を取ると、ココアへと渡す。ココアはあまり持ちたくないのか、受け取って直ぐに捨てた。
「おいおいバチ当たるぞ?」
「なまけでガードするからいいもん」
「お前なぁ・・・」
なまけものは呆れつつもそれ以上は特に何も言わなかった。ココアが捨てた骨を元あった場所へ雑に戻す。流石に疲れたのだろうか。
「必要なもの手に入ったし帰るか?」
「はぁ?」
そう思いなまけものに声をかけると「何言ってんだこいつ」みたいな顔された。そしてやれやれと言いたげに首を振る。
「おいおいユウ。あんなこと言ってるぜ?」
「何が? 帰らないの?」
「お前もかい! まだやること残ってるだろ? 奥まだ行けるだろぉ!」
「「あ、ほんとだ」」
なまけものが指差す方にまだ奥へと進める道がある。確かになまけものの言うとおりだ。ここまで来て確認せずに帰るわけにはいかない。
「でも何があるんだろ。もうご褒美貰ったよね」
「おいおいポンタ。ボスクリアしたんだ、アレしかないだろう?」
「・・・アレかっ!」
どうやらステUPの時間のようだ。今回もスピードにしよう。
次回更新は3日後の予定です。