435.【海難】と再戦してみた⑦
「あれなら当てられると思ったのに!」
ユウさんが悔しがる。僕もあれには対処できないだろうと思ったがさっき見せてたのが不味かったかもしれない。そのせいで予測された。
しかしそれはこちらも同じだ。
「『縮地』」
『!?』
片足を地面につけ『縮地』を発動。天井付近まで跳んだ。直後水の針のようなものが僕の居た所に現れる。逃げなければ今頃さっきと同じようにアレに貫かれていただろう。攻撃失敗した水の針は逃げるように床の水の中に消える。
「消えたっ、逃げたわ。ポンタ!」
「よしっ! 『猛毒弾』!」
なまけもの達が作ってくれた氷の円の中心を狙って限界まで溜めた『猛毒弾』を放つ。猛毒の塊は水飛沫をあげて着弾し、着弾地点から徐々に氷の円内を濁らせいく。本来なら水に乗って散ってしまうが、氷で囲まれた現状では猛毒の水溜まりと化す。
そして【海難】はその中に居る。ということは・・・
『!? うぐっ!? ぐぁあ!』
「出たっ! ユウさん!」
「任せてっ!」
嫌がるように【海難】が現れた。当然猛毒状態だ。【海難】は慌てて『水化』を解くと、急いで氷の仕切りを越えようとする。しかしそんなことはさせない。
「はぁああああ!」
『くっ・・・、なっ!?』
高く跳躍したユウさんが剣先を下に向け串刺し態勢で襲いかかる。それに気付いた【海難】が慌てて杖でガードするも剣先に合わせられなかったのだろう。防ぎきれず首の付け根に思いっきり剣が突き刺さった。血が噴き出したことで、『水化』はない。
「「「よっしゃぁあ」」」
ユウさんを除く僕らはそれを見て思わず声を上げる。そんな中ユウさんは【海難】首を刎ね飛ばし、跳躍して降下してきた僕に乗り直す。
「お疲れ様」
「ポンタもね」
一息つく彼女と労い合う。
そこになまけもの達が合流する。
「おっ疲れー!」
「おつ〜」
「「お疲れ」」
なまけものは消えゆく【海難】に目をやりつつ、「何とかなったな」と言いながら大きく息を吐いた。その吐いた息の大きさで結構気を張っていたと気付く。
「そりゃな。ここまで来るの超面倒だから気も張るだろ。まぁこれでこの遺跡とはおさらばだぜぇ」
「はぁ~あ・・・、当分水相手は勘弁したいわ」
「何言ってんだユウよ。【海難】メインがまだ残ってるぞ」
「うわぁ・・・そうだった・・・」
げんなりするユウさん。僕も同じだ。もういいじゃないかと言いたくなってきた。
それはなまけものも同じ気持ちのようで、
「まぁ一回気分転換はしたいわな。なら・・・」
「何かいいものある?」
「そうだなぁ・・・、地下行くか・・・情報あったメシか・・・ちーー」
「「「メシで」」」
「・・・決まりだな。じゃあ・・・」
「後は・・・」と言葉を続けなまけものは振り返る。そこには奥へと続く通路がいつのまにか現れていた。
「報酬貰ってずらかるぞ!」
「「「よっしゃぁあ」」」
僕達はその通路へ吸い込まれるように走り出した。
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