426.【海難】本体と戦ってみた⑥
「「ココアっ!」」
「まー、待て。問題ない」
慌てる僕とユウさんに対し、なまけものは冷静だ。なまけものは問題ないというが、ガッツリ当たったぞ。
「・・・あら、冷静ね。介錯の準備は出来てるわよ」
「同じく」
「待て待て。アイツはアレある限り俺らの中で一番硬いんだぞ。忘れたのか?」
「いや分かってるけど、流石に壊れるだろ」
「攻撃が氷より硬けりゃな。だが考えろ、水だぞ?」
そう言われると大丈夫そうに聞こえるが・・・。
[ココア DEATH]
「死んでるじゃない!!」
「何でぇ!? 威力的に大丈夫だろっ!?」
確かに威力的にはココアでも耐えられる筈。しかしそれは通常状態でだ。さっきのココアはなまけものによって猛スピードで突撃している状態。
つまり、
「そのスピード分威力が増したんじゃないか?」
「ついでに相手の魔法、カウンター扱いになったかもね」
「・・・・・」
なまけものが崩れ落ちた。どうやらそこまで考えてなかったようだ。しかし氷で覆われているので多少は威力が落ちる。だからその条件でも一撃で死ぬとは思えない。
まさかとは思うが・・・
「ユウ。ポンタ」
「ん?」
「何?」
「介錯してくれ」
ユウさんと顔を見合わせる。ユウさんが頷いたので僕も頷いた。
「「はいはい」」
とは言っても僕らではなまけものへダメージを与えられない。適当に【海難】の前へ放り投げる。目を丸くするなまけものに僕らは手を振る。
「・・・おい」
「んじゃあと宜しく」
「先帰るわね」
僕とユウさんは離脱する。死亡判定になるがどのみち一緒だ。ココアを追うために急ぎオアシスへ転移した。
なまけものがその後どうしたのかは知らない。
「いや、1人捨ててくなよ!!」
「離脱したのかい」
「あれぇ? みんな戻ってきたの?」
オアシスに戻ると、すぐに後を追ってなまけものが戻ってきた。そして意外にもココアはさっぱりした状態だ。てっきり憤怒状態かと思ったのだが・・・。
「いやもぉ眠くて眠くて・・・」
「ほう」
「で、もう今日いいかなぁって思って・・・」
「ほう」
「だからワザと死にました」
「おい!」
やっぱりか・・・。
話を聞くとワザと『氷体操作』を解除してダメージを受けたらしい。元々全体的にステータスが低いココアはそれであっさり死んだらしい。あの状態でも睡眠を優先するのはココアらしいな。
「おい、じゃあなんだ? 俺の切腹は冤罪だったと?」
「してないじゃん切腹」
速攻離脱しておいて何言ってるんだか。
視線を向けるとなまけものは、遮るように大きくため息をついた。
「はぁ~あ、折角あそこまで行ったのによ~」
「時間が悪かったわね。というより時間がかかり過ぎたわ」
「そうだな。ちょいだれてたな」
「いつもじゃない」
「・・・それもそうか」
急に疲れが出たのか、なまけものの元気が急激に減ってきた。電池の切れかけみたいだ。
若干不完全燃焼の状態だが、今日はもう無理だろう。
「じゃあ今日はこれで」
「「「「お疲れ様」」」」
そう言って皆ログアウトした。
次回更新は3日後の予定です。