424. 【海難】本体と戦ってみた④
「おいおい、何止まってんだ!?」
「いやちょっと確認を」
「何かあったのか?」
なまけものに情報を伝える。
基本【海難】はなまけものには背を向けている為、なまけものからは杖が見えにくい。なのでなまけものは光っていることすら気付いていなかった。
「・・・おい待て、攻撃力増えてるだと?」
「うん。最初の倍ほど・・・」
「威力だけか? 魔法の大きさは? 速度は?」
「いや、ぱっと見はよく分からない。回避には問題ないけど」
「なるほどな。ただ最悪を考えると一緒に強化されていると考えたほうがいいな。となるとモタモタしてらんねぇ、ポンタ、お前も攻撃に回ってくれ」
「それほど焦るほどじゃないと思うけど?」
「ユウよ、宝石が光るまでに相手のHPはどれくらい減った?」
「1割・・・もないわね」
「そうだな。つまりこのペースだとあと9割以上減らすまでに相手は9回パワーアップしてくるということだ」
なまけものが「ヤバいだろ?」と言いたげな顔で説明してくる。確かに流石に9回もパワーアップされたら僕でも一撃がかなりキツくなるな・・・。流石に際限なく上がるとは思えないので、パワーアップの上限があるとは思うけど。
しかしユウさんはキョトンとして、
「それが?」
「いやだから、9回もパワーアップされたらキツいだろ?」
「当たらなければ大丈夫でしょ?」
「ポンタは当たるぞ」
「そうだったわ!」
それで納得されるのなんか納得できん。いや、当たるけどさ・・・。
というかそれよりも、
「それよか僕はこのペースだと後30分近く戦わないといけないわけで、そっちの方が嫌なんだけど」
流石にシンドイ。集中力も持たないし、リアル時間的にもそろそろおねむの時間だ。
しかもそれで負けた時は・・・、考えたくないね。
「それは俺も嫌だな。というわけだからユウ、さっさと倒すぞ」
「そうね。了解したわ」
まとまったところで僕となまけものは分散する。
基本行動は変えない。ただなまけものの攻撃タイミングに合わせ僕も攻撃するだけだ。今のところ相手の防御は正面のみガードできる『アクア・ウォール』と杖で防ぐくらいだ。2方向から攻めれば当たる確率はかなり上がるはず。
ただ牽制でスキルを使用する為、攻撃できない場合はその役をユウさんにお願いする。
「思ったんだけど・・・」
「ん?」
「ココアに足下凍らせてもらったらすぐ終わるんじゃないの?」
そう言われて【海難】の足下を見る。足は水に浸かっている。凍らせれば動きを封じることが簡単にできそうだ。そうすれば避けられることもないのでボーナスタイムとなる。
「・・・そう、だね」
そうなれば本当にすぐ終わりそうな気がしてきた。・・・そうなればね。
次回更新は3日後の予定です