422.【海難】本体と戦ってみた②
ピシュゥウ・・・
僕の側を水の槍が通り過ぎる。前見た海水の槍と同じ魔法だろう。
しかし大きさが段違いに小さい。海水の槍に比べると半分以下の大きさだ。それに速度も遅い、ローグが投げた長槍の方がまだ速かった。
何が言いたいかというと、躱すのは苦じゃないということだ。
「初手当たってるじゃない」
「それは威力を見ただけでワザと当たった・・・ということにしておいてください」
威力に関してはほぼ一撃だった前回に対し、今回は全然効かない。定期的に回復するのであればごり押しできるレベルだ。低いのはいいことだが、前回の威力を考えると低すぎて逆におかしいと感じるくらいだ。
「ギミックあるかもね。様子見する?」
「いや、やめとく。僕らはタゲ取りがメインで無理して攻撃する必要はないからね」
逆に低いのであれば被弾時のリスクが減る。そうなればもっとギリギリを攻めれるので寧ろ好都合だ。
なまけものに声を掛け、僕は一気に【海難】との距離を詰める。
『『アクア・ランス』』
それに対し【海難】は再度水の槍、『アクア・ランス』を放ってくる。しかしあの海水の槍に比べるとやはり小さいし遅い。あれを見ているせいだろうか全然怖くなく軽く躱して『スケイルショット』を打ち込む。しかし『スケイルショット』は【海難】の足元の水がせりあがってできた『アクア・ウォール』によって阻まれる。
「防がれたわ」
「まぁだろうね。でもアレじゃない」
アレとはふざけた防御力を発揮した渦のドーム。しかし今回はただの『アクア・ウォール』だ。
【海難】の横をすり抜けて振り返り確認するが、やはりただの『アクア・ウォール』で、前方、1方向だけの防御しか出来ていない。
「やっぱり全方位防御は無いみたいだね。ただ節約してるだけかもしれないけど」
「どっちでもいいわ。無いなら私にもチャンスあるってことでしょ?」
「うーん・・・まぁ、そうだね・・・」
ユウさんの攻撃したい気持ちがあふれ始めてきた。とりあえずスルーしておく。
僕はそのまま【海難】の後ろ側へ回り込むと、【海難】はこちらを追って体の向きを変えた。
なまけものに背を向けるように、
「なまけ!!」
「おうよっ!」
そしてそれを見ていたなまけものが背中を向けたタイミングに合わせて『サンダー』を放つ。単発で撃ったのは様子見だろう。それはいい。それはいいが、
「!? あぶなぁ!」
「ちょ!? ビリッと来たわよっ!」
あのタイミングの攻撃を【海難】は『アクア・ウォール』でガードしてきた。
それだけならまだ【海難】の対応能力に驚くだけだが、放たれた『サンダー』は『アクア・ウォール』に吸収され、足元の水を伝わりたまたま水面近くを飛んでいた僕らにも伝わってきた。しかもなぜかダメージが入り身体中がビリッとする。一旦敵である【海難】のスキルである『アクア・ウォール』を介したからだろうか。
まぁ問題はそっちよりもあのタイミングで防いできた【海難】の反応速度の方だが・・・
次回更新は3日後の予定です