414. ローグと戦ってみた⑤
ふ、やったぜ・・・。
黒焦げになり落ちていくローグを見て達成感を感じる。HPはまだ残っているので終わってないんだけどね。
何となく出し抜けてうれしい。
しかしSGが半分切ったし、相手のHPも半分。恐らく相手が切り札スキル使ってくるかもしれないので気を緩めるわけにはいかない。
というより今がチャンスなのだ。相手が切り札使う前、態勢を立て直す前に倒しきるのが一番いい。
『ぐぅ、あああっ!』
そう判断した僕は、全身の所々が焼けた状態の地面に転がるローグへと襲い掛かる。しかし流石はAランク、倒れつつもこちらを見るなり転がるなどして避けてくる。が、所詮転がる程度、すぐに追いついて踏みつけ全体重をかける。メキメキッと鎧がきしむ音がしてローグが一層苦しむ。見る限り『生成』を使う余裕もないようだ。
このまま押しつぶしつつ『火炎』で燃やし続ければ勝てそーー
『いい加減にしろぉ!!』
「おわぁ!?」
HPが一定量減ったからだろうか、突然ローグが凄い力で僕を押し退け起き上がる。急なことで僕はそのままバランスを崩して近くに倒れる。しかしすぐに転がって距離を取る。
逆に踏み潰されると悪寒がしたからだ。咄嗟の判断だったがそれは正解だった。転がった直後、すぐそばで大きな音と共に地面が振動する。起き上がって確認するとクレーターが出来ていた。
『ふぅー、ふぅー・・・』
当然やったのはローグ。全身に赤黒いオーラを纏い、息も荒くなっている。そしてHPが減り続けている。オーラと減り
続けるHP、そしてクレーターが出来るほどの攻撃力・・・、どうやらデメリット付きのバフを使ったらしい。HPの凄まじい減りを見るにリスクは相当高そうだが、その分パワーアップも尋常じゃなさそうだ。攻撃力UPについては足下のクレーターで分かる。後はスピードと防御力だが・・・、
「いっ!?」
一瞬ワープでもしてきたかと思ったくらいの速度でローグが距離を詰めてきた。そしていつのまに『生成』したのか両手に長槍を持ち詰めると同時に突いてくる。
『『破砕突き』!』
しかもスキル攻撃。
赤黒いオーラとスキルによるであろう青白いエフェクト両方を纏った長槍2本が僕の胸に突き刺さる。が僕の体が刺さると同時に消えた。
「あっぶなっ!?」
そしてローグとは反対の戦闘エリアギリギリに転移。何とか『蜃気楼』が間に合った。しかし使わないと100%死んでいたであろうその攻撃に避けてもなお動揺が消えない。それほどの恐怖をあの一瞬で味わった。
というか急に2個同時『生成』とかずるくないか!?
「う・・・、やっぱ『蜃気楼』重いなぁ・・・」
一気に減ったSGを見て嘆く。残りではもう『蜃気楼』は使えるかどうか微妙なところだ。仮に使えても他のスキルを使った瞬間使えなくなるだろう。それはつまり、もう『蜃気楼』での回避は出来ないということだ。
さて、どうやって逃げ切きるか・・・。
次回更新は3日後の予定です