412.ローグと戦ってみた③
『『生成』』
ローグは反射機能のある大盾をあっさりと捨てて長槍を生成する。どうやらあの大盾は咄嗟のガード用のようだ。あれがあるとこちらの攻撃はほとんど効かないので助かる。
「しかしあれだけかぁ・・・」
いいタイミングで『スケイルショット』を打ち込んだのにダメージは微々たるもの。1割も削れていない。全弾当たっていれば2割はいけたのに・・・、なかなかうまくいかないものだ。
しかし投擲に対する回避は大丈夫そう。何度か距離をとって試し、相手の初動作で回避をできるようになる。飛んでくる長槍の速度にも慣れてきたので避けた直後の長槍を尻尾で掴むこともできるようになった。そのまま相手に投げ返すこともできそうだが、すぐ次の長槍が生成されるので投げることはできなかった。
ただ尻尾の活用方法が増えたのは悪くない。今後も武器パクリなど活用していこう。
ちなみにこの尻尾がこんなにも精密に動かせたことは知っていた。しかし尻尾がこんなに動かせても使い所ってないよねと思って使ってこなかった。
ただ今回のようにすれ違いながら相手の武器を奪うこともできるので他にもやってみると案外使える事が多そうだ。
「よそ見すんなポンタ!」
「ん?」
尻尾を振りながら今回の戦闘でどう使用するか考えてるとなまけものが怒鳴る。よそ見? ちゃんとローグは見てるぞ。その証拠に目の前にローグは居るし、さっき投げてきた長槍もちゃんと避けた。
「よそ見ってどーーぐっ!?」
後ろから何かが刺さった。衝撃と痛みでフラつくが何とか姿勢を保ちローグからさらに距離を取った。痛みのところを確認すると避けたはずの長槍が体に刺さっており、それはスゥッと消える。
「まずい、また来る!」
消えたのはローグが生成したからだ。そう思いローグ見るも、ローグに手に長槍は無い。生成してない? いや、じゃあ何でさっきの長槍は消えた?
消え方は生成した時と同じだった。だから生成したのは間違いない筈だ。けどローグの手には何故無ーー
ドスっ!
「いっ!?」
また刺さった。後ろから。だがさっきと違いローグは投げた様子はない。それよか動いた様子もない。だから気付いた。
再度長槍が消えたのを確認し、『強再生』を使用し回復しつつ3首をフル活用して周囲を確認する。
「やってくれる・・・」
そして自身の後方斜め上に見える光を見て呟く。直後その光が長槍へと姿を変えて飛んできた。咄嗟に躱すとその長槍はローグの方へと飛んでいき、ローグの手に収まる。
どうやら『生成』を発動するのはローグの手だけでなくどこでも良いらしい。思った以上に面倒なスキルのようだ。
次回更新は3日後の予定です。